男子生徒会
生徒会長:アスラン・ザラ(高二)
副会長:キラ・ヤマト(高二)
副会長:ニコル・アマルフィ(高一)
会計:レイ・ザ・バレル(中三)
書記:シン・アスカ(中三)
女子生徒会
生徒会長:カガリ・ユラ・アスハ(高二)
副会長:ラクス・クライン(高二)
副会長:ミリアリア・ハウ(高二)
会計:ルナマリア・ホーク(中三)
書記:メイリン・ホーク(中二)
「・・で、また体育祭な訳だ。」
「仕方ないだろ?年中行事だ。」
生徒会室では女子と男子の顔合わせと体育祭の事を話していた。
「・・・。あ、先輩、お茶入れます」
メイリンというルナの妹は気が利く子で随分と助かる。
「じゃあ、僕とラクスが開会の言葉やっていい?」
キラはどうせやるならとニッコリ笑う。みな、どうせお前の意見には誰も逆らわないし、逆らえないと無言の鉄則だった。
「あら、嬉しいですわ。キラ」
この二人のラブラブぶりは正直なところ目に余る。
「閉会の言葉は俺とカガリだな」
さっきの二人のラブラブに便乗しようと言わん限りに見られ、逆に少し恥ずかしくなる。
「・・あぁ・・そうだな、頑張ろうな!!」
そのやり取りを見てニコルはクスリと笑っていた。
「アスランさん!」
「どうした?ニコル?」
ウエストの廊下で喋りかけられる。
「・・・カガリさん、可愛かったですね。あの時。」
その言葉にえ?と聞き返す。
「二人が付き合ってるの結構バレバレ・・・というか、スッゴク注目されてるんですよ。回りから。」
その言葉に?を飛ばす。
「いや、ほら・・カガリさん一応アスハですからね、やっぱり家の事もあるのに、凄いなって。」
家の事?
「でも僕は二人を応援してますから。これからも仲良くしてくださいね」
そう言い去っていくニコルを後ろから見つめていた。
ニコルの父はのそ業界の人間だった。
そしてアスハ代表取締役が入院し、その娘がセイラン家に狙われている。
それは影の業界の噂。
クラスでラクスとアスランが来るのを待っていた。
「カガリ・・・この頃どうしたの?」
そう聞いたのは突然だった。
「え?」
どうして?と言う顔をされる。けど、やっぱり変だ。
「僕にも言えないの?」
片割れなのに?
カガリは困った顔をする。やっぱり何かあったのか?
「いや・・相談して、解決する話でもないんだ。」
「そう?話したほうがスッキリしたり、いい方法浮かぶかもよ?」
だいたい、カガリが抱え込むなんて・・・。
「カガリはすぐ知恵熱出しておかしくなるんだから。」
その言葉にクスリとカガリは笑う。
「アスランの事・・・なんだ。」
「うん」
「私は、アスランが好きだ。」
「そうだね」
「・・・でも、これ以上好きになりたくない。」
「どういう事?」
アスランの顔を見ている限り、とても幸せそうでカガリとの間には何も問題が無いように感じられる。
そりゃ、カガリ自身色々あったが、ユウナは今たしか渡米中だとキサカさんから聞いている。
しゅんと、カガリの顔が悲しそうになるのを見逃しはしなかった。
「・・・・・・・・。ま、色々あるんだよ。」
そうかわされ、何かあると思った。
5月18日、それはキラとカガリの17歳の誕生日。
「おめでとうございますわ!キラ!カガリ!」
ピンクの髪の恋人はにこやかに花束を渡してくれた。
「ありがとう、ラクス」
「ケーキも買ってきたぞ」
アスランは持ってきたケーキをカガリに渡していた。
「うわ〜ありがとう!!」
僕の家で四人でドンちゃん騒ぎ。馬鹿みたいにどうでもいいことで皆で笑った。
「あ!俺のケーキ!!」
「な、美味しそうなんだから、ちょっとくらいくれよ!!私のもやるから!!」
「・・・分かったよやるから、口開けろ!!」
「はぁ!恥ずかしい!!馬鹿!!」
そんなバカップルの会話を目の当たりにしてみて、こっちも負けないようにラクスをニッコリ見る。
「あら、キラ・・キラもほしいですの?」
「うん」
そんな感じでこっちもこっちでバカップルをしていた。
「今日は楽しかったな!」
「そうだな・・馬鹿みたいに騒いで」
「いいじゃないか、お前学校じゃそうとう真面目キャラだぞ?」
「俺は真面目なんだ。」
そう言いニッコリ笑う彼に笑い返す。今年は一番嬉しい誕生日が迎えられた、そんな気がする。
「・・・。それと、・・えっと・・・。」
そう言ってゴソゴソと鞄を探り、出てきたもの。
「・・・ピアス?」
緑色の宝石の入った飾り気の少ない、でも綺麗なデザインのピアスだった。
それを無言で渡され、パッと嬉しくなる。
「ラクスが・・誕生石教えてくれて・・・。」
モゴモゴとそう言ってくれるアスランが、愛しく思えて、泣きそうになった。
「ありがとう・・・。」
そう言って、それを眺めて、片方アスランに返す。
「?」
「お前、これつけろ。」
-----いつまでも一緒にいられるように。
その日のうちに美容院に行き右耳に穴を開けピアスを通した。
次の日学校に行くと、アスランの髪の中から緑色の宝石が見え隠れしているのを見て嬉しくなった。
体育祭が来る。
昼休みフラッと立ち寄ったのはあのシャワー場。
「・・・。アスラン?」
どうやら彼も来ていたようだ。
「・・・カガリ!」
約一年前の体育祭の日、初めて二人が出会った日。
「もう、一年だな。」
「あぁ・・・。」
しみじみしながら、あの時を思い出す。
「・・・始めてあった時・・お転婆な子だなって思った。」
「律儀な奴だと私は思った。」
「というか・・透けてたぞ、下着。」
「・・・な・・何見てんだよ馬鹿っ」
真っ赤になってしまうカガリとそれを見て微笑むアスラン。
カガリは「別に減るもんでもないけどさ・・」と口を尖らせる。
「早かったな。一年。」
「そうだな・・・カガリと会えたから・・だと思う」
「私もアスランに会えたから・・・かな・・。」
去年とは打って変わり晴天で、それを手を繋ぎ二人で眺めた。
「来年もこうやっていような。」
アスランからのその言葉に少し嬉しくなった。
「あぁ・・来年もな」
「ねぇラクス・・」
「なんですの?キラ」
デートをしながらフッとカガリの言葉を思い出した。
「カガリ・・アスランの事これ以上好きになりたくないって言うんだ。」
訳わかんない。
そう伝える。
クレープを食べながら、ラクスは考えていた。
好きな人にずっと真実を隠されるのと、隠さなければいけないの・・どちらが辛いんだろう。
キラにはまだ言っていない事があった。
カガリのキスマーク。
酷いことをされたと言うのも、常識の範囲で考えれば・・特にキラの常識で考えればキスが限界だろう。
カガリは・・・・・もっと酷い事をされたんだろう。
同じ女の子として・・それをやはり大好きな人に知られるのは恐いし、嫌われたら・・と当然考える。
そして・・カガリは告げなかった。
私なら・・言ってしまうだろう。そして共に解決策を探してと頼んでしまう。
カガリは・・一人で解決しようとしてしまう・・・。
故に苦しくなる。自分だけ。
誰にも理解されず、理解を求めない。
-----壊れてしまう。
いつかのキラの言葉を思い出す。
このままではいけない。
悩んでいるキラにそっと話しかける。
「鬼のいぬまにと言いますし・・あの方がいない内に、何か作戦を考えるのはどうでしょうか?」
そう、アスランとカガリが仲良くなる為には、あの男をどうにかしなければならない。
これ以上好きになりたくない。
それは、これ以上辛くなりたくないから。
勝手だ・・また。
自分で自分の首を絞めている。
でも・・・
・・・・・守りたいモノがあるんだ。
手から零れ落ちようとも。
「アスラン先輩っ!!」
そう言って近寄ってくるメイリンは何かと気が効く良い子の象徴のような子だった。
「あぁ・・どうかしたのか?」
「これ・・あ・・アップルパイ・・焼いてみましたっ・・良ければ食べてください!!」
そう渡され
(甘いものは苦手なんだけど)
と心で思ったが、断るのも忍びないので貰ってしまう。
「ありがとうございます!!」
ニッコリ笑われ、誰かに似ていると必死でその誰かを考える。
「もてもてですね〜アスランは」
よこからヒョコッとニコルが出てきた。
「あっ!ニコルだ」
「はい?」
そう、気の利かせ方や、その笑顔はニコルと被る。
「いや、ニコルとメイリン・・似てるかもしれないと思ってな。」
「いやー僕あんな可憐じゃないです。」
アハハとニコルは笑って言った。