シード学園は元より、金持ちかずば抜けた才能が認められた子供が入る、
超々特別な学校であった。
そしてそれは、幼、小、中、高、まであり、大学の進学率も凄かった(一部裏金)
ビップが入る学校なので勿論施設は良い。
しかも、自由な校風を取り入れる何とも良い学校であることに違いはない。
そして唯一の学校の方針、社会貢献出来る大人になる事、なのだ。
しかし、この世の中男尊女卑どいう禍々しい言葉があり、女性が社会貢献するためには
どう見ても目の仇であり、男性に対して男女平等が叫ばれる時代、
仕事場での女性の対処には困る人もいなくは無い。
その壁をなくすべく、ある制度を取り入れたこのシード学園。
その一つは、中高委員会合同(これは社会での年齢差を感じさせないためらしい。)
もちろんそれは、生徒会もだ。
そして、女性が社会で男性に負けずやっていけるように考案された、新たな企画。
それが、女子生徒会の確立である。
「私は反対です、フラガ先生。」
それを言ったのは副生徒会長アスラン・ザラ(高一)であった。
「何故かな?アスラン」
「そんな事したら、ラクス嬢こっちの方から外れなきゃいけなくなるだろ」
それに突っ込むようにディアッカ・エルスマン(高二:副生徒会長)
「でも、確かに生徒会にしても、他の委員会にしても女子が仕切ってやるのは少ないですよね?」
ニコル・(中三:会計)の発言は最もであった。
「フン、くりたきゃ作ればいいだろ!!」
生徒会長のはずのイザーク・ジュール(高二)は少しご機嫌斜めだった。
「まぁ、言ってしまっては何だが、既に上の決定事項らしい。そう気を悪くするな。」
じゃあ聞くなよと誰もが思った瞬間だった。
「で?ラクスが抜けた穴はどうするんだ・・・。」
「新しい奴入れようにもイザークと付き合っていける奴なんて世間的にすくな・・・」
「なんだとディアッカァァ!!」
「そうですねー、温厚でいて、なおかつ仕事が出来て・・・」
「そうだよなーそんな仏様みたいな奴少ないよなー」
「お!あいつは?えっと・・・キラ・・・なんだ?」
「フラガ先生が仰いたいのはキラ・ヤマトの事ですか?」
「おお!ビンゴアスラン!!」
「・・・・・っ!!」
「どうしたんです?イザーク」
「・・・去年の体育祭、そのキラって奴に選択競技で負けたんだよ、イザークは」
「クソ・・・あの時の屈辱・・・」
「でも、確かにキラなら・・・。」
「だろ?俺、アイツの担任だからさ〜色々出来るし、人柄いいし」
「アスランとフラガ先生推薦なら僕はいいと思いますよ」
「そ、じゃ多数決で決定」
「なっ!なんだと!!生徒会長の俺の確認ナシに・・・!!!」
「俺が確認したもーん。」
「クソ教師めぇぇ!!!」
一方新しく立ち上がった女子生徒会も生徒達からの推薦で誰がつくかハッキリしてきた。
生徒会長:カガリ・ユラ・アスハ(高一)
副生徒会長:ラクス・クライン(高一)
副生徒会長:ミリアリア・ハウ(高一)
会計:フレイ・アルスター(高一)
書記:ルナマリア・ホーク(中二)
そして担当の先生はマリュー・ラミアス氏であった。
「オイオイ、なんで生徒会長ラクスじゃないんだ??」
「あら、それはカガリさんの方が会長として相応しいからでしょう?」
「ちょっと、なんで私が生徒会なんて・・・」
「フレイ、選ばれたんだから仕方ないでしょ」
「えっと・・・先輩達、宜しくお願いします!!」
という訳で、仕事が出来る出来ないに関わらず、著名人が集まっていた。
「え?カガリ生徒会やるの?」
「あぁ、なぜかそういう流れになったらしい。」
兄妹(内密)のキラ・ヤマトと食堂でランチを食べながら話していた。
「私もですわ、キラ」
そう、三人で食べるのがいつもの日課なのだ。
ミリアリアとフレイとも仲がいいのだが、二人とも彼氏もちでそちらと食べている。
「僕もフラガ先生から男子生徒会の書記にって、話来たんだよねー」
「あら、私の後任ですわね」
「アスランもいる事だし、この頃全く会う機会も無かったから丁度いいかな〜って思って。」
「あ!アスランってお前の幼馴染のか?!」
「あら、カガリはアスランにお会いした事無かったのですね?」
「あぁ、学校の式典いつも寝てるから生徒会の話聞いた事もない。」
「つまり顔もしらないんだ、カガリ・・」
「あぁ、でもフレイによるとカッコイイらしいな!!」
この学校は設備をよくしすぎた為か、校舎がでかくなり、東塔(イースト)と西塔(ウェスト)、
そしてその中間に委員会や特別室などの中央塔(通称セントラル)が出来ているのだ。
そして東塔にいるカガリは西塔のアスランなどあってなきに等しい。
「というか、フレイ曰く、「生徒会メンバーは皆◎」らしいけどな」
「確かに、かっこいい方がお揃いですわね、生徒会は」
それを聞きキラも頷く。
「でも、それに呼ばれたキラもかっこいいから頷けますわ」
イチゴミルクを飲みながらあっさりと言われキラは赤面していた。
そして、男子生徒会入れ替えと共に女子生徒会発表も間近に迫った六月。
カガリは必死で女子生徒会会長の言葉を記憶しようとしていた。
もとから記憶は苦手だったが、演説は自分の気持ちを入れればいいだけなので割りと平気だった。
そして舞台袖にいくとラクス、ミリィ、フレイ、ルナが既に待機していた。
「先輩、遅いですよ!」
「すまない、今日だって事忘れてた。」
「そのお顔ですとセリフは大丈夫のようですわね」
「あぁ、間違っても気合で乗り切るさ」
「・・・間違える前提なのね?」
「カガリの事だから、何とかなるでしょ、きっと。」
そして、その先には男子生徒会の姿があった。
舞台ライトの逆光でよく顔は見えないがたしかに、皆キリッとしてかっこいい事はかっこいいと思った。
そしてそんな中にキラを見つけ軽く手を振る。
それを見たキラも軽く手を振り替えした。
発表が始まり、キラの紹介がされるとワァッと女子から歓声が上がった。
そうなのだ、男子生徒会はイケ面と決まっていた。
それにキラは密かに学校のクイーンキラーとして有名だった。
中学の時クラスの演劇で王子役をやり、会場の女の子を虜にしたのが由来だそうだ。
『次は新しく発足した女子生徒会・・・』
その言葉を聞き、少し背筋を伸ばす。
実の所カガリはとてもお嬢様で、いや、この学校でお嬢様と呼ばれるほどのお嬢様
なのだから、
そうとうなのだが・・・それを普段破片も見せないのが人気の理由でもあった。
そして女子生徒会が舞台に上がった瞬間、公式発表は今なのだが、皆一時沈黙した。
そして直ぐ後にワァーーーと言う大きな歓声が上がった。
まず会長カガリ、お嬢様の立場とその性格のギャップ、何よりまず他人という性格のよさ。
そしてラクス、文化祭ではいつもニコルのピアノと歌姫ラクスの歌で終わるという伝説保持者。
また、その歌を聴いて癒されない者はいないとか。
ミリィはその面倒見のよさ、表裏のない明るさから幅広い学年と友好があるし、
フレイはその容姿で落ちない男はいないが、本人は高飛車という、一生に一度は狙いたいタイプ。
ルナはまだ中学生だがいたいけのない性格で先輩受けがよかった。
という訳で男女共にとてもうけの良いメンバーであった。
しかし、それを心地よく思わない者もいない訳ではない。
そんなんで生徒会の仕事が勤まるのかと思う人もいない訳ではなかった。