あれから・・・三回ほど、ユウナと外に出ていた。
あぁ・・もう、嫌だ。早くアスランに逢いたい。
昨日・・たまたま逢ったキラに散々愚痴をこぼしたほどで・・・・もういやだった。あいつ・・何かに耳とか頬とか触ってきて・・ッ。
気持ち悪いんだよッ!!!
一刻も早く・・・アスランに癒してもたわねばと思う。
「アスランッ・・!!」
「カガリっ?!」
信じられないスピードで走り込んできたカガリを、アスランはいとも簡単に抱き上げていた。
まるで・・お父さんが子供にする高い高いのように。
「・・どうした?・・・服、乱れて・・・」
「アスランッ・・逢いたかったんだっ・・!!!」
ギュッとアスランの首に巻き付いて、届かない足を庇うようにアスランは抱き上げていた。
ああ・・もう、やっぱりアスランがいい。コレでもないほど抱きしめると、アスランが苦しそうに呻いたので腕を放し下ろして貰う。
「あ・・すまない、つい・・。」
「いや・・俺も、逢いたかった。」
だが・・このいきなりの抱擁にはビックリだと言うと、カガリは少し俯いてしまう。
アスラン自身・・カガリから抱きしめて貰えると・・嬉しくてついつい頬がゆるむのだが・・。きゅっと結びなおし手を握る。
「いこうか、カガリ。・・・・家で良いか?」
「アスランとのんびりしたい。・・・この頃、仕事ばっかで・・。」
本当に・・疲れたから、アスランと家でごろごろしたいッ!そういうと・・アスランも笑って
「俺も・・この頃、体ばかり動かしてたから・・・そうだな、今日はごろごろしようか。」
そうして歩き出すと、アスランの手が・・・冬の寒さのせいか極端に冷たい。
カガリは両手でアスランの手を包んでやる。
「・・お前、手・・冷たいな。・・・・・暖めてやるっ。」
ギュッと握ってみせると、アスランは微笑んで・・カガリのその手にキスをしてくれた。
「・・?---怪我でもしたのか?」
「え?」
チラッと・・見えたのは、この間・・ユウナに吸われた場所で、カガリは急いで言い訳を探す。
「なんだか・・季節はずれの虫に刺されたっぽいんだ。まぁ・・もう治ると思うんだが・・。」
「そうか・・。」
その・・虫さされの痕にまで、アスランは軽く嫉妬する。俺のカガリなのに、そう何日も残る痕を付けてくれるなよと。
あとで・・上から口づけをして吸ってやろうと思う。
そうして・・家について囲炉裏に炭をくべてその中に二人で足をつける。
「暖かいな・・。」
「そうだな。」
そして・・さっき見た手を取り、アスランは舌を這わした。
「わッ・・な、ひゃっ・・」
二三度舐めると、カガリは男の子っぽく、また女の子っぽく声を上げる。
その反応を見て・・可愛いと、こんなにも強く思うのは・・重傷だと思った。
「虫の癖に・・カガリに、こんな痕付けるのは・・尺だな。いや・・虫で良かった、人だったら・・凄く怒ってた。」
欲情しない分・・なんだか、次は独占欲が出てきた・・ような気がする。
カガリは困ったように笑い・・・その手を預けてくれたから・・・好きなようにさせて貰う。
ちゅっと音を立てて、その痕を見て・・吸い付いた。少し痛いようで眉をひそめるカガリに一言謝って、その痕以外の場所も舐め上げる。
指と指の間をゆっくりと舐めると、カガリはくすぐったいように目を細めて・・うっとりとした瞳をアスランに向ける。
アスランもその表情を見て・・・ドクンと心臓が鳴っていた。
ああ・・やばい、---歯止めが利くだろうか?
手首を舌先で触れるか触れないかで撫で・・欠陥が浮く細い手首を優しく吸う。
そして肩まで袖を上げて、二の腕に優しく噛みついた。
柔らかい。
「・・アスラン・・っ?」
ちゅぅっと吸って、その柔らかい部分にも痕を残し・・耳にまで到達する。
耳の中を舐めると、「ッ・・ん・・ぁ」と艶やかな声があがって・・・・アスランは体を離した。
そして自分の手を顔に当てる。
「駄目だ・・やっぱり、今回は・・平気だと、思ったのに。」
でも・・心の中でよくやったと、自分を励ます。・・よく・・止めたと。
「・・気持ちよかったぞ?アスラン・・。」
触れられてた手の甲を見て、少し赤くなって微笑むカガリが・・やっぱり可愛くて、内心また焦り出す。
そう・・ただでさえ、焦っているのに・・・カガリはアスランの手を取り、同じ事をやって見せようとする。
「・・カガリっ・・やめ・・」
「・・?気持ちいいぞ?---・・嫌か?私に触られるの。」
「・・嬉しいが・・・・・その、・・」
曖昧なその態度にカガリは「まぁ、やらせろって」と笑い・・手を舐めだしてしまう。
手の甲の舌を這わせて・・吸い上げて痕を作り、手の指の隙間を舐める。
それに・・指を一本ずつ銜えられて口内で舌に巻かれて・・正直その・・感覚と、カガリの伏せ目に、クラッと来る。
指だけ舐め終わると・・カガリは微笑んで
「気持ちいいだろ?」
と・・・・・本当に平然と聞いてきた。
「・・ああ・・。」
「じゃあ・・次は耳だ、耳っ」
横向けと・・言われて素直に従い耳を出すと、中を優しく穿って耳たぶも舐めてくれて・・無意識に声を漏らす。
鼻に掛かった様な声。・・・・あぁ・・もう、カガリのせいだ。・・・・半分くらいだが・・。
「・・アスランのも・・これくらい、気持ちよかったから・・お返しだっ」
頬を染めて・・笑う、相手に・・・アスランも純粋に真っ赤になってしまう。
そして・・どちらとも無く唇を重ねて・・・唾液を溢れさせてた。つやつやと光る・・唇を舌で舐め上げると、カガリは恥ずかしいようで目をつむっていた。
でも・・絶対に離れないように頭を手で押さえつける。
「可愛いよ・・カガリ。」
可愛すぎる。
互いの唇が触れるか触れないかの距離でそう言うと、カガリは「そんなことない」と言ってきたが・・直ぐに。
「アスランに・・そう・・・・・思って貰えるのは・・凄く嬉しいけど・・。」
欲情しそうになりながらも、最後に優しく触れるだけのキスをして・・体を離した。
「ごろごろしよう・・アスラン、布団引いてさ。」
「・・・君は・・・・これ以上に俺に我慢しろと言うのか・・?」
「・・嫌なら・・いい。」
「嫌じゃない・・我慢も・・・慣れているから、我慢する。」
そうして囲炉裏から出て、寝室で布団を引き・・・・アスランはカガリに寝間着を渡す。
その・・冬着の着物じゃ、帯やらなんやら・・邪魔だし、寝っ転がりにくいだろう。
アスランも・・寝間着に着替えて、同じ布団の中にうずくまった。
「布団・・冷たいな。」
「・・すぐ・・あったまるさ。」
手を伸ばして・・・・・カガリを抱き寄せる。布越しに当たる胸は・・ちょっと予想以上かもと思ったが直ぐにそのふしだらな考えを消した。
カガリもアスランの服をきゅっと掴み・・・本当に可愛いと思う。
「・・私が・・もっと、大人になったら・・沢山触ってくれ。」
「・・・・大人になるまで・・頑張るよ」
「うん・・。待ってろよな。」
「・・・。」
主張しだした自分のモノを沈めるようにアスランは思う。大切なんだから・・・。と。
そんな容易く奪って良い物でもないし・・・・。
そんなことを・・考えていると、胸元から寝息が聞こえて・・アスランは微笑んでいた。
こんな状況で寝れてしまうのだ、カガリは・・・。俺も寝ようかな・・。
そうして・・暫く二人で・・・・寝息を立てていた。
起きると・・寒さが増したように思えて、アスランにしがみつく。
「ぅ・・ん?」
「あ・・悪い起こした・・」
「いや・・構わない・・」
アスランも寒さに身を少し震わせて・・・包むようにカガリを抱きしめてくれる。
「・・暖かい・・カガリ。」
「アスランも・・暖かくて・・気持ちいい。」
カガリより大分角張っている肩に触れて・・目を細める。男の人なんだな・・と、こういうとき強く感じるのだ。
凄く・・強い力がありそうなのに、自分を抱きしめるとき・・まるで硝子を扱うように優しくしてくれるのが・・凄く嬉しい。
男らしいアスランの胸板に頬をすり寄せて、顔を埋める。アスランも・・カガリの金髪に鼻を付けてその匂いを堪能していた。
甘い匂い、でも・・何だかからだが痺れるような・・感じもする。
サラサラの・・でも硬質な髪を梳いてはキスをしていた。
「・・アスラン・・・・・愛してるぞ。」
「っ・・!」
急に・・・そう・・言われて、アスランはボンッと顔が赤くなるのを感じる。
顔をのぞき込むと・・「なんだよ、いっちゃいけないのかよ」とふてくされていた。
ユウナと・・アスランに、同じように触れられても・・感覚は酷く違う。
アスランのは・・・・くすぐったくて、気持ちよくて・・・ドキドキする。
ユウナのは・・ただ、悪寒と・・皮膚に感じるただの痺れだ。
そこに・・気持ちがあるか、ないかで・・・こんなにも違う。
アスランの唇に触れて・・・カガリは毅然と微笑んでみせる。お前しかいない・・と。
「・・カガリ・・・・。」
誘われているような気さえ起こす、その指に・・アスランは従うようにカガリと唇を合わせる。
布団の中だ・・正直・・・・・・・・先を、望めば・・出来る。
「安心する・・・。アスランと・・いると。」
「・・・俺も・・。」
でも・・安心よりも・・ドキドキしているなんて言えない。
---------こうやって、ただ、純粋に・・・言ってくる、君に・・やっぱり・・出来ないんだ。
・・・でも、それは・・それほど・・・・・・アスランの中でカガリが大切だと言うことで・・。
「もうちょっと・・このままでいたい。いいか?」
「いいよ。カガリ」
きっと・・一度、カガリの味を占めたら・・・・・・・・こうやって、やることも・・・出来ないかもしれないから。
そして暫くただ抱きしめ合い・・・・二人で体を起こし、着替えをすませる。
ちょっと、火照った体をさまそうと・・障子を開ければ、外からは雪が降っていた。
牡丹雪。
「・・綺麗だっ・・な!アスラン!!」
「そうだな・・綺麗だ。」
そうやって・・はしゃぐ、カガリも・・・でも、まだ綺麗と言うよりは・・・可愛い、だが。
縁側に置いてあった草履を履き、カガリは庭に出て・・くるくると舞う。
綺麗・・だった、まるで冬の妖精のようで・・・・・。
「なぁっアスラン!囲炉裏でお茶しよっ・・大福も食べて・・蜜柑もっ・・雪が降ってるとさらに美味しく感じるだろうから!」
「分かった、・・・風邪・・引くぞ?・・・早く来いよ。」
「ああっ」
雪一つで喜べるカガリが・・凄く新鮮で可愛らしい。
そして二人で囲炉裏のある部屋に行き、障子を開けて・・・雪を見ながらのんびり過ごしていた。