[PR] この広告は3ヶ月以上更新がないため表示されています。
ホームページを更新後24時間以内に表示されなくなります。

愛しさ募って欲望に走らないように。


第伍輪+恋慕



正直なところ・・・アスランは、自分自身を相当の馬鹿だと評価しだしていた。
まさかだった。

-----こんなに、、、二ヶ月が・・・・・・辛い、なんて。思っても見なかった。


「アスランっ!!」
待ち合わせ時刻の・・・・一時間半前より待っていて・・・カガリは一時間前に来てくれる。
「早いなっ・・ってか、これでも一時間早く来たんだけど・・。」
彼女はどうやら・・・自分の方が早く尽きたかったようで不服に顔を膨らませ、唇をとがらせてしまう。
そんな・・仕草も、可愛くて・・・・---でも、そのいじらしさにも構って居られないほど・・枯渇しているのが分かる。

もっと笑って、もっと喜んで、---口づけして・・・。

会えなかった二ヶ月を・・凝縮したかった。

離れていても・・・・たった二ヶ月にたった一度会う、この機会を・・・深いものにしたい。




手を引き・・アスランは早々にカガリを内に入れた。そして玄関先・・まだ下駄も脱ぎ終わらないのに、抱きしめる。



「あ・・、アスランっ?」

馬鹿だ、自分は。
カガリが・・・・・・こんなにも、心を占めている。いや・・占めていてほしい。
独占的すぎて・・・嫌われたら、どうしようか。
長かった二ヶ月を、消すようにアスランはカガリの頭に頬をすり寄せていて・・カガリはもう真っ赤だった。
歳は・・アスランの方が、もう・・・三歳も年上なのに・・甘えられているようで、くすぐったい。
カガリはその甘えに答えるようにアスランの背中に手を回して優しく撫でてやる。

「・・・・・カガリ・・逢いたかったよ。・・・・こんなに、辛い・・なんて、思っても見なかったから。」

一緒にいるときでは分からない。どんなに・・・その時が尊くて幸せだった何かなんて。
無くなって・・・初めて、気が付く。

「アスラン・・。」

耳元の下で囁かれる言葉に、アスランは・・・なんだか、もう、理性と離れたところで身体が動いていた。
首筋に・・・軽くキスをして、襟からその鎖骨を露わにさせる。

「・・っ・・?!」

きつく・・吸い付いて、痕を残し・・・・それを見て、満足げに微笑んでいた。
そして髪を上げて、うなじに舌を這わせてから耳元に上がり、耳たぶを優しく口に含んで舌で舐め上げる。

「はぁ・・っ・・や、アスラン・・」

「・・・っ・・!!」

カガリの声で正気に戻り・・アスランは口を押さえた。
まずい・・、今・・・・カガリに、手を出そうとしていた。
自分より・・二歳も三歳も年下で、まだ・・十四のカガリ・・・。待とうと、せめて・・十五までは・・絶対に、口づけ以上のことはしまいと・・思っていたのに。
すぐに、はだけさせた着物を元に戻して、アスランはカガリを部屋の中へと導いた。
幼い君を・・壊したい訳じゃない。・・・守りたいのだ、君を・・俺は。
そのハズなのに・・今のように、ただ・・自分の本能のまま・・手を出してしまったのが、酷く情けない。
大切だと・・思うからこそ、相手のことを慈しまなきゃいけない。ただ、ただ・・愛しているからと言って、何でも許されるのは間違っている。


・・なのに。

ああ・・、なんて、馬鹿なんだろう。


居間に行くとカガリは昼ご飯を作ると張り切りだして・・アスランもそれを手伝っていた。
とんとんと包丁を使いこなす様は・・やはり凄いと思う。
「豆腐のみそ汁と・・、菜っぱと、あと・・ご飯と、タマゴっ」
そう・・メニューを決めながら嬉しそうに鼻歌を歌うカガリに・・アスランはやんわりと微笑んでみせる。
でもやはり、今日のアスランは何処かおかしいと自分で思っていた。
こうやって・・いつもなら、微笑んでみられているところで・・手を伸ばしたくなる。

抱き寄せたくなる。

欲求不満・・なの、だろうか?ああやって・・毎日・・一緒にいられたのなら、感じない、性欲にまみれた事柄まで頭には浮かんでくる。
自分は・・そっちの方は、疎いとばかり思っていたのに。
駄目だ、駄目だと、頭を横に振って、アスランは菜っぱに醤油をなじませていた。
十七・・か、確かに・・ディアッカとかシンとか・・・見ている限りじゃ、本当にこっちの方向に目覚めても良い歳なのかもしれない。
キラ・・イザークだって、アスランよりかはその手の方は巧いのだから。

「・・・---・・・アスラン・・私と一緒にいるの・・つまんないのか?」
「えっ・・」

ボーっと食事をとっていて・・カガリにそう突っ込まれる。・・・余りにも長く・・黙りすぎた。
そう思って、そんな事はないと言うとカガリは少し機嫌を損ねたようで顔をしかめてしまう。

・・どうしよう、こんな事・・・・・・考えて、カガリを放りだして・・・。

折角・・二人で居られるときなのに。

「・・・・いや・・・、やっぱり・・カガリと・・離れたくないと思って・・。その、---久しぶりだと・・色々、あるから。」
ずきんと・・カガリの胸の奥が鳴ったのに、アスランは気が付かないで居た。
「・・提案なんだが・・カガリ・・本当に、此処に住まないか?・・・食料費だって・・全部出せるし・・。」
一緒にいられるようになれば・・また、こんなカガリを壊すことばかりに頭を使わなくてすむ。

色々って・・なんだよ。----何か・・私が、変わったのだろうか?・・・・気に障ることを・・したのだろうか?
これから・・どうしたって、十年くらい・・離れていなければならないのに・・・・アスランは・・さっきもだけど・・"辛い"って。
一緒にいなければ・・私はどんどん変わっていって、アスランの気に障ること・・沢山して、アスランも・・辛くて。

「・・・・傍に・・いなくても、想ってるし・・想い合ってる・・だろ?---それに・・私も、仕事・・だしさ。」

迷惑・・だったか・・。
ハァッと地の奥より深い溜息が出てくる。俺は・・本当に毎日カガリを近くで感じたい。
でも・・カガリは、仕事だってしたいわけだし・・・そうそう俺ばかりに構っていられないのだ。
アスラン自身・・・大天使での仕事が忙しくて・・・・きっとカガリがこの家に来ても、一日三時間程度しか顔を合わせられないと思う。
だが、二ヶ月に一度より・・遙かに、良い。

「・・・傍・・に、いないと・・・・嫌いに・・なっちゃうのか・・。アスラン・・は・・。」

濁るような声を・・聞き、アスランはびっくりする、カガリを嫌いになるなんて・・有り得ない。
実際今だって・・・・、感情をぶつけてしまわないかが心配で・・その為の解決案を試行錯誤していたのに。


「・・違うんだ・・カガリ、俺は・・・やっぱり、自分勝手で・・・・カガリを傷つけないか・・心配で・・・・・。」

俺は・・男で、どうしたって・・・・・欲があるからと。

「・・・?欲?」
「そうだ、欲。」

言っても良い物だろうか、だが・・、もう・・十四なんだし・・・・。言うだけなら、それにカガリとは・・本当に結婚もしたい。
なら、やっぱり・・。

「その・・俺は男だから、カガリを抱きたいとか、触りたいって・・どうしても、思う。けど・・カガリはまだ、小さいし・・」
何よりも・・。大切にしたいから。会えないばかりで・・・気持ちが募って、手を出してしまうと・・・・カガリを傷つけてしまいそうだから。

そう・・・小さくしながらも最後まで言うと、カガリはキョトンとして、琥珀の瞳をこちらに向けていた。

引かれた・・か?でも・・これは、恋人ならば絶対当たる問題だ。


「・・カガリ?」

その・・キョトンとしたまま動かないカガリに、話しかけると急に口を開いて、


「・・ごめんっ・・。てっきり・・一緒にいられなくて、辛くて・・・・嫌いに、、、そんな・・考えてくれてるなんて、思わなくて。」


急に・・瞳に涙をためてこちらを見てから、カガリは小さな手で顔を覆う。
やっぱり・・アスランは、大人だ。三歳違うだけで・・・、アスランは正直に自分のことを言ってくれるのに・・私は。

私は・・・・・。

「嬉しい・・っ、嬉しいんだ。やっぱり・・アスランは優しくて・・。疑って悪い、でも・・本当に・・・。」
こんなに優しくて思いやりのある人・・・・他にいない。
「・・・カガリ。」
やっぱり・・子供、だよな。十四だもんな・・・・・。
手を出したくて、堪らないのに・・、、、やっぱり、君は純粋に俺を優しいと言ってくれて、泣いてくれる。
そんな君を・・・まだ、抱くわけにはいかない。それこそ・・天罰が下りそうだ。

「ゆっくりでいい・・カガリは、今はまだ・・子供で、でも・・すぐに大人になるから。」

アスラン自身・・まだ自分が完璧に大人だとそんな優越があるわけではないが・・。だが

「俺も・・気長に待つ。カガリが・・・十五、十六になるくらいまでなら・・待つ。」

それ以上はキツイと笑うと・・カガリも笑って・・その顔が涙でキラキラと光るのが、また綺麗に見える。
頬の雫を唇で拭ってやると、カガリは頬を染めて・・どちらとも無く口づけをする。
食後だと言うことも気にせず、優しく貪ってカガリを抱きしめた。


「・・ごめんな・・・・アスラン。-----・・待たせて。」

「・・いい・・、楽しみは・・取っておく物だし・・それに、カガリは・・」


生涯、俺だけの・・、俺だって、生涯君だけだから。なら
「焦る必要も・・ない、カガリの心の準備が出来るまで・・俺は待ってやりたいと思ってる。」


でも・・・今みたいな事が・・・長く続くと・・正直自信がない。
こんなにも・・カガリを感じたい。
そこまで言えず・・柔らかく抱きしめてくれるカガリを抱き返し、暫くそのままで居た。



--こんなに・・俺を信用してくれるカガリを・・・・裏切れるはずもない。


溜息をついてカガリの頭を撫でて、おでこや頬にキスをしてやる。
カガリも・・答えるように瞳を閉じて、カガリからも少しだけ、お返しをしてくれた。


「ごめん」

「なにがだ?アスラン。」

「・・ちょっと・・過剰だよな。」

「・・そうか?私は・・嫌じゃないし、結構・・好きだし、えっと・・その、アスランも・・好きでいてくれてるんだって・・思えるから・・」

腕の中で頬を染めていうカガリに、アスラン自身危険信号が出る。



ああ・・くそっ、なんでこんなに可愛いんだよ。


可愛すぎて困る・・なんて、本当にあるモノだったのか。

「・・可愛すぎて・・・・・・・正直、困るな。・・・歯止めが利かなくなりそうだ。」

そう・・気まずげに言って、アスランは自らカガリを離した。これ以上・・ひっついていては本当に手を出してしまう。

「琴・・弾こうか?」

「そうだな、お願いする。」





そうして・・カガリとアスランの短い憩いの時間は終わっていく。それを・・カガリもアスランもとても切ない思いで過ごしていた。


夕方になり・・・カガリが出ていくのをアスランは見送る。

明日から・・二ヶ月間、果たして気が狂わずにいられるだろうか?

そう考えると、もっともっと・・カガリを感じておくべ気だったと後悔してしまう。










帰り道、カガリは半分スキップで帰っていた。

ああ・・やっぱり、アスランだ。アスランしかいない。

なんであんなに優しいのだろう。幸せをくれるんだろう。

暖かくなった心、満たされた心を、カガリはステラ達にも分けてやりたいと思っていた。

あと・・二ヶ月、早く・・・・こないかな。アスランと・・・今日みたいに、じゃれて・・いたい。

頬をほんのりと染めて、冬になってきた外気に触れさせると丁度良い気がする。



「早く・・大人になりたいな。」


アスランを・・満足させてあげたい、・・・・・・いつも、与えられている気がするから。次は・・・。

私が。

そう思うと、なんだか恥ずかしくて・・でも、早く早くと思う自分も居て、なんだか楽しい気分でいっぱいになっていた。































































+++++
あとがき
カガリが子供ですが、それでも可愛いと・・・vv
2006/06/17