13禁


第三十章・・・忘却草



次の日の夜、カガリは・・また、城を抜け出した。
それは・・アルテミスからザフト兵がいなくなって・・丸一日たったからだったから。
もう、アスランがいるはずないと考えたからだった。

だが・・

そう・・心内心配になる。
まだ、居るような気がする。アスランは。
そして一つの・・薬を手にして・・城を飛び出した。


いる。


そう・・確信したのは・・森に入ってからだった。
草木が教えるように囁いている。

"いるよ"と


「・・アスラン?」

そう・・はっきりと口にして・・目の前に広がる草むらの奥にある・・芝生を見る。
木にもたれて・・いる、彼は・・紛れもなくアスランで
そしてその翡翠の瞳が開かれて、此方を見る。
暗くても・・よく、見えると思った。
だけど。

「・・----カガリ」

その瞳には少なからず・・怒りの色が見えていた。


「・・・くるなと、いったと思ったんだけど」

譲れない、互いの国の為に---私は、お前を・・選ぶわけには行かない。
お前だって・・分かっているはずだ。そうだろう?
なのになんで・・
何で、お前は此処で・・私を待っているんだ。
愛しいから?
-----・・そんなこと、知ってる。

「・・そんな事・・、死んだって聞きたくなかったよ・・、まさか君の口から。」
「・・今はだ、もっと・・オーブがしっかりして、プラントも・・良政なって・・それからだ」
「・・それは・・・・一体いつの事を入っている?」

その・・アスランに近づいたのはカガリからで、アスランも怯まず・・その場に立っていた。
「さぁな。」
国が・・本当の意味で平和になるときなどない。
知っているさ、私だって。

「・・そんな、曖昧な時を・・待てと言うのか?君は・・俺に」

悲しそうに顔を歪めて・・まるで、拗ねた子供のように縋ってくる眼を・・カガリは解くように、金髪を横に振った。

「分かってるだろう・・?---私は、人を助けたいんだ。出来る限りの力で・・」

そう・・キリッとした顔の、愛しい人に・・アスランの胸の痛みは加速する。
いつだってそうだ、カガリは・・ユラのときも、いつだって、目に映ったものたちを救おうとしていた。
それが・・ただ今、目に映らぬ・・大衆に向いているだけで。
そんな・・彼女が好きだ、人間として・・とても惹かれる。

--------女、姫・・そんなものである前に、カガリは・・カガリなのだから。


だけど。

知っているけど・・

「・・俺は・・カガリがいなかったら、・・幸せにはなれない。」

我が儘で、受け入れられない願いだと知っている。でも、もう、、、脳では測れない。
好きなんだ。
離れたく・・ないんだ。

「・・・誰にも・・身体を、精神を・・犯されることなく育ってきたお前の・・何処が・・幸せじゃないのか、私には分からない。」
「・・・ッ・・カガリ・・」
「食べ物に困らず、・・育ってきた、お前の何処が不幸とでも・・?知らないものに・・鞭で身体を打たれず、強姦されなかったお前の・・何処が不幸なんだ!!?世界には・・オーブには、プラントにはっ・・そう言う人たちが沢山いると言うのに!」
琥珀色の目が・・苦渋に光り、またアスランを睨みつける。

「そんな・・人たちを、棚に上げて・・お前の所に・・走れるわけ、ない、だろう?」

瞳には涙がたまって・・ぽたぽたと流れ落ち、・・その姿に絶句する。
カガリは・・アスランなんかよりずっと、世界が大切で、当然の事だと・・理解していても・・

「・・---だからと・・いって、俺たちが・・結ばれる事に・・問題なんて・・」

「大有りだ・・っ!・・お父様は・・お前の父に・・殺されたんだぞ!?その息子のお前と・・結ばれると、本気で思って・・っ」


"結ばれると、本気で思って-------"


カガリは

思っていない?


プツンと、何かが切れるようにアスランはカガリを抱きしめた。

「・・---・・離せ・・アスランっ」
「嫌だ、離さない。」

さっきと・・打って変わりアスランは・・引く気などなかった。
カガリが・・もう、"結ばれる事は無い"そう・・考えている事が・・酷く悲しい。

「・・お父様・・っ----・・。」

胸の中で・・そう、呟いた少女を・・閉じ込めるように抱きしめてしまう。
"お父様"それを命を奪ったのは・・アスランの父のパトリックで・・アスランはその息子。
つまり・・カガリの父の・・命を奪ったのは・・俺の父上。
だから・・

「・・ごめん、と、俺が言っても・・君は・・---」

「お前が悪くない事ぐらい・・知っている、だが・・国民は別だ。」


あくまでも、アスランは、アスランだと・・見てくれる、その人に・・更に愛は募るばかりで、

離れたくないと思う。
離したくないと思う。

「・・・・・・・・来て、くれないか?----プラントに・・俺の・・」

"妻として"

「・・本気で・・っ---言って----」

「悪い話じゃない、プラントで・・后になって、政権を・・オーブを動かす役職にだって・・つけられる。・・君も沢山の人が助け・・」


「ふざけるな!!!!!!!!!!!!!」


大声で地響きを鳴らすような音に・・アスランは焦る。
一番の方法だと思ったから、カガリと共に居られて・・そしてカガリも、人を救えると。

「・・お前は・・お父様の国を捨てろと言うのかっ!!?国民を・・手放せと言うのかっ!!!!!!!」

「・・・・そう、だ。」


怒りに滲んだ瞳を・・アスランは見て考えていた、だって・・そうするのが一番で・・国を捨てるといっても・・又直ぐに・・

「信じられん・・っ・・!!----見損なった・・ッ」

グイと胸板を押され、身を離そうとするカガリを・・アスランは離さない。

----・・もう、離さない。

「・・離さない。」
「女ボケして・・国を投げろと言う・・お前なんて・・・・キライだ。」
「・・・・オーブの為でもある、このまま・・プラントと対等になれると・・?」
「聖母は---もうそちらの国にはいない。」

切り札のように言われた言葉に・・アスランは息を呑んだ。
本気なのか?----カガリは、俺と・・二度と、結ばれない気で・・いるのか?

「・・戦争になどしない、・・・平和に・・皆が平等に自由に生きられれば・・それ・・ッ-----!!!!」

ん、と声をあげて重ねられた唇、アスランは直ぐに離して・・カガリを覗き込んだ。

「・・プラントの聖母・・君がなればいい。」
「・・・馬鹿をいうなと、何度言わせたら・・」

そう・・言う間にもアスランの手は動いて・・片手は胸を掴んで・・首筋を撫でた。
腰の手も、なぞるように撫で出して・・カガリはアスランがここでしようとしている事を察する。

「・・頭・・大丈夫か?お前・・・」

呆れてものも言えない。そう・・思って、アスランの手を止め・・---瞳を覗いた。

「・・君が・・、駄目だと言うなら--------力ずくで、連れて帰るまでだ。」
「あす・・・・ッ!!!」

木に押し付けられて・・きつく首元を吸われる。
そして・・すぐに、服の中にするすると手が入りだし、素肌を撫でられ胸に触れられる。

「ばっ・・ぁ、・・止めろっ!アスラン!!」

手で必死に押し返そうとすると、両手を纏めて左手でつかまれ上に上げられてしまう。
空いた手で服を捲り上げたと思えば、身体をジロジロと見られ・・眼を逸らした。
不貞腐れた態度をとっているとアスランも少し眉を潜めて・・指先で胸の先端を押しつぶされる。

「・・っぁ・・」
「・・喘いでいいよ、俺しか・・聞いてないから。」

カガリの反応に満足したように微笑んでから・・アスランは唇で今押しつぶしたもの甘く咬み・・舌でコロコロと転がす。




ちゅぅぅっと強く吸われて、カガリの意に反して高い声が上がるとアスランは優しく微笑んで見せた。

「ゃめッ、あす・・---」

潤んだ瞳を必死に向けても・・アスランは、満足するように笑うだけで・・カガリの内心にはどうしようもない恥ずかしさと侮辱感が流れる。
まだなれない、抱かれると言う感覚。・・快楽、なのかもしれいないけど。

「・・・・・・君が・・俺を愛してくれるなら-----・・俺は他に何も要らない。」

皇子の地位だって捨ててやる。

「カガリが来られないのなら・・俺が、、、俺が・・オーブに行く。」

そう・・宣言すると、カガリの目は大きく開かれて・・涙が溜まったように見えた。

「・・ッ--なんで・・なんで、お前はそうなんだよ・・っ-----!」

悲痛な声を・・目の当たりにしながらアスランはカガリの口を塞いだ。
それからはもう、ただ、本能の赴くままにカガリの身体を調べる。
胸も・・腹も、背中も----、全部、俺ので、君の。
ズボンをおろし下に生える少し暗い金髪を分け入り、濡れた場所を・・なんども優しく撫でていた。
半裸進む行為、そして・・カガリの立っている足がガクガクと揺れ出して・・アスランは救い舟を出す。

「・・・木に・・よっかからないで・・俺の背中に手回して。」

そうすれば・・まだ立っていられる。

「・・ッ・・でも・・」

「恥ずかしくなんて・・ない、今は・・」


"ただの恋人同士だ。"


そう・・言うと、カガリの顔は・・複雑そうな顔になる、だが直ぐに・・ひくつく赤い場所を撫でると、手を回してくれた。
すぐに・・アスランは自分のズボンを少し下げて・・自分のものをカガリの入り口にあてがう。

「ひゃッ・・・」

慣らしていないせいもあるのだろう、カガリは恐く思ったのか首に手を回し・・アスランはカガリの柔らかい脚を持ち上げ、半ば強引に押し込んで見せた。

「っ!」

痛さに顔をゆがめるカガリとは裏腹に、重力に従って・・カガリの身体は落ちてきて、どんどんと中に埋もれていってしまう。

「・・っぅ・・きつ・・」

アスランは腰を落としてさらに、挿入を続けて・・ある程度のところでカガリの身体を支えて止める。
「・・だい・・じょうぶ?か・・」
カガリもアスランも息絶え絶えになり、ただ視線を合わせた。
綺麗な瞳。
お互い・・そう感じて・・アスランは腰を・・もっと深くへと押し込む。

「・・ッあ----」

いつもと違う、もっと深いことに気が付いたカガリは身体を振るわせた。
グイグイとまだまだ、そういわれる様に割って入ってきた熱く硬いものは次第に身体に呑み込まれて行く。

「あ・・ッ・・ぁ---・・むり・・っ・・ゃあ!!」

この間とは違う場所を攻められ・・高い声が森に響いた。
その声に反応するようにアスランは強く腰を動かし出す。
キュキュッと自分の中が絞まるたびにアスランは半ば苦く、半ば悦さそうな顔をする。
その・・表情を間近で見てカガリもうっとりして・・鼻先にキスをすると強く唇を求められた。

「・・---カガ・・リ・・気持ち・・いい、凄く・・ッぅ。」

胸と、下げている赤い石にキスをしてアスランは一度ギリギリまで抜き突き上げてきた。

「・・ッあっ!!・・・・」

「カガ・・っ絞め・・す---ぎ」

「だ・・っ、も、ぅ、-----」


意識か飛びそうになってそう言うとアスランもコクンと頷いて、激しく腰を振り最後の最後で引き抜かれた。
服と、素肌に、べったっとした白濁色の液体がつき・・カガリはアスランへ倒れこみアスランはそれを抱き寄せて・・顎を引き寄せ強く唇を貪った。
アスラン自身、立っているのが辛くて・・マントを引きその上にカガリの身体を横たわらせその上に覆いかぶさる。
そして、アスランはまた直ぐに硬くなりだした己のものを感じながらもカガリに話しかけていた。

「・・----・・愛してるよ・・カガリ-----」

肩で息をする愛しい人を見つめてアスランはうっとりして・・またキスを顔と素肌の至る所にする。
胸に頬を摺り寄せているとカガリは目を覚ましたようで・・髪の毛を梳いてくれた。

「・・お前・・ばっかりが、好きだ何て勘違いするなよ。」

その言葉にアスランは頷いて・・カガリの顔を見る。

「・・君の・・他人思いのところも・・--好きだ、・・・それは本当で、でも---」

言葉を詰まらせたアスランを見て・・カガリは「しょうがない奴だ」と泣きそうな顔で微笑んで・・アスランの顔を引き寄せ、唇を合わせた。

「・・・ふ・・ッ・・ん----」

そのキスが終わるとカガリはアスランの足の付け根に身体を落とし、大きくなりだしたそれをやんわりと細い指で掴む。

「っあ!」


声をあげたのはアスランで、カガリは何も言わずに上下に動かし出し、舌を這わせる。
その・・何ともいえない光景にアスランは快楽と恥辱を覚えて・・思わず呻き声が上がった。
パクッと咥えられて、舌で先端を何度も突付かれるとアスランも変になり腰を振り出す。
そして線を越えるように・・カガリの口の中に、自分の液を広げて・・アスランはクタリと倒れこんだ。

「・・気持ち・・良かったか?」

唇を液体で染めて・・たらりと垂れるカガリに、また欲情しながら・・アスランは頷いた。
カガリは少し微笑んだ後、自分のポケットから・・なにやら取り出し、アスランの顔へと近づける。
ツンとした匂いが、頭を巡って・・・その匂いは鼻を通して、脳へと響いた。



「ッぅう・・」



いきなり・・極度の頭痛に襲われて・・アスランは頭を抱えるとカガリの掌が頭を撫でて・・瞼越しに話し出す。

「・・----・・、これ嗅ぐ前に・・逢った最後の人のこと、忘れられるんだって。」

その・・説明に、アスランは瞳を開き・・カガリを見あげる。

「もう・・遅いぞ、----・・どんどん、薄れていって・・いつか消えてなくなるから。」

金褐色の瞳に涙いっぱい溜めて・・カガリはアスランに囁く。

「・・国で・・頑張れよ?----・・もう、私なんかに・・囚われるな。」

少し動くようになった身体を持ち上げて・・カガリは既に遠くへ投げたその薬草を眺めている顔をアスランの方へ向けさせた。

「・・----なんで・・っ!!君はッ-----」


その、瞳、・・髪。
しだいに頭痛は激しくなり・・その痛さに瞳を閉じる。

「・・脳は今、私の記憶を・・お前の中から消し去っている最中だ・・私の事はもう・・見ないほうが良い。」

髪に優しくキスをされ・・そして、頭を抱きかかえられる。

「・・思い出し薬を作るのに・・一週間以上掛かる。・・忘れ薬は・・三日、--どんなに長くても、一週間・・それで、全て消える。」

その言葉を無視して・・アスランはカガリの身体をきつく抱きしめると・・カガリの涙が数滴アスランの頭に流れた。

「-----私がいて・・駄目になる、お前なんて・・見たくない。・・だから、」


"ごめんな"


「・・・・・ッ---カガリッ!!!!」



痛い。


そう、感じたのは頭だったのだろうか、


それとも、



心だったのだろうか。































































+++++
あとがき
睡眠薬の薬でアルコールと使用すると一時的に記憶が消えるものがあるそうです。
まー、カガリの薬草はその土地の文明の力と言いましょうか。
本当ならば薬として使われるはずの薬草だと思います。
一応体位まで考えてみたんですが伝わっているかは謎です。
2006/05/12