第二十七章・・・再会



「・・っ---どういうことだ!?」
「皇子・・っ!その・・城に、反乱軍が!!」

・・反乱軍?
その・・言葉を聞いて城にすっ飛んでいった。





いつも通り・・訓練を終えて、あの場所に行こうと考えていた矢先、
目に・・飛び込んできたのは、兵たちが大量に倒れている姿だった。
担架で街の人から・・・次々に運び出されている。



・・反乱軍----。

そう・・聞いた瞬間に、頭の上から水を被ったような気分になった。

ユラ・・キラ・・・----・・。

そう・・愛しくて親しいものの名前が上がる。







「ッ・・ち---・・」
「・・っと・・!」

二人で剣を交わらせて・・もう、三十分。
お互いゼーハーと方で息をし出し・・・だが・・シンのほうが勝っている事は確かだった。
増力のお陰だと・・心の中で微笑んで、相手の剣を押す。
一瞬・・フラリと疲れとその重圧でふらついた足に・・間髪いれず、蹴りを入れて倒してしまう。

「・・っ・・」
「・・勝ち、だな。」

そう微笑んでシンは闇を使いその者の眼を塞ぎ・・鳩尾に一発射れて、気絶させた。





「もう終わりにしたほうがいいぜ?イザーク」

そう・・剣を止めたディアッカに「なにぃ!?」とイザークは切れる。

「・・だって、もう城の兵いねーじゃん。一旦ひけよ。」

そう・・もう、イザークの周りには・・兵がいない。・・・それは認めよう・・だが。

「引けるか馬鹿者!・・・オーブはもう、プラントの領なのだ!」
「馬鹿はお前だイザーク・・!お前だって、プラントが間違ってる事にぐらい---気が付いてるだろ!!」
「・・----だとしても、俺は・・っプラントの兵だ!!」

そうして・・両者引かずにらみ合っていると・・・フッとその場に来る者がいた。

「・・ッ-----キラ・・」

そう・・イザークが息を呑んだ。
キラは・・最強だ、一対一でも勝てない。---そんな相手。

「・・イザーク・・・もう、この城に兵はいない----だから、プラントに・・アスランとレイと・・他の兵を連れて戻って」

優しく・・諭すような声に、イザークは「だがっ」と声をあげた。

「・・気絶、させるよ?」

そう・・言った瞬間、デュエルとストライクがキンと音を立てて交わり・・そしてキラは風を使いイザークの足元をすくう。
だが・・足を一歩後ろに置き風を避けて、イザークはキラを睨んだ。
キラも睨み返して・・そして、音よりも速い戦闘が始まる。
キンキンと音を上げて交わる剣を・・ディアッカはただ黙って見ていた。
だが・・数分後、バッと弾かれたデュエルを・・ディアッカは拾うことになる。

「・・・ごめん、イザーク」

ドスッと・・鈍い音を立てて、イザークは倒れこんでしまった。






クラッと・・いきなり、筋肉の緊張が解け、驚いてインパルスで体を支える。

「・・っ・・増力が切れたのか?」

増力系の技・・それは術者のレベルと、その使われる人とでのシンクロ率が試される。
どうやら・・速いらしい、自分はとシンは溜息を付いた。
でも・・もう、レイは倒したし・・もうじき街の人が担架を引き連れてくるだろうと勝利間に浸り・・パタンと絨毯に寝転がる。

「っあ〜!!勝った!!!!」

増力をかけてもう・・一時間十五分・・まあまあと言うところかな。
そうしてゴロゴロと転がり・・筋肉が疲れたと伸びをしていると・・人の足音がして・・ピクリと止まる。

---街の人じゃない。

ざわざわとする。
・・・ディアッカ?キラさん・・カガリ?
そう・・していると・・駆け足になって自分の隣でピタリと止まる。

「レイっ?!」

そう・・声がして・・敵だと気が付き・・真っ青になる。
やばい・・今とてもじゃないけど戦えない。
・・それに・・そうやらラクスさんがしてくれた能力の増力も切れたらしく・・力も使えない。
----・・まずい・・非常に----・・。

「・・・子供・・?」

シンを見たのか・・相手は呟いてシンの方へ近づいてきて、目が合う。

「・・子供じゃないか・・----・・なんで・・君のような・・」

そう・・歳なんて変わらない、やけに月明かりに照らされて・・綺麗な顔の男の人をシンは赤い目でキッと睨んだ。

「・・お前らが・・オーブを壊すから・・!」
「・・・---・・っ」

その・・目が、まるで--真っ直ぐ射抜く・・ユラに似ていると思えて・・息を呑んだ。


"お前らが・・オーブを壊すから・・!!"


そう・・ユラ・・いや、カガリも思っていたのだろうか?俺の隣にいるとき・・抱かれている時、


"お前のせいだ"と



「・・ッ・・アスラン---・・シン?!!」

そう・・懐かしい声、後ろから下と思い・・振り返ると、やっぱり・・
--------ユラ。
輝く金髪、金褐色の瞳。
白い月明かりに照らされる・・その、愛しい人。

状況を忘れて・・・、手を伸ばしそうになった。
だが

「カガリ!!」

そう・・叫んだ少年を・・、護るように、ユラは俺の前に立ちはだかる。

「・・・ユラ・・---------・・。」
「・・アスラン・・悪いが、手を引いてくれ。もう・・この城にザフト兵はお前しかいない・・・・・・・。」

違う。
そんなことが・・聞きたいのではない。

「ユラ・・君はっ・・ザフトをプラントを・・」

俺を

「本当に"裏切った"のか?!」


そう・・言った言葉は・・少し涙に濡れているように聞こえた。

「・・違う、アスラン・・私は・・」

"カガリだ"

そう・・言って、シンを起き上がらせ・・肩を支える。

「・・大丈夫か・・?シン。」
「・・ごめん、カガリ---」

そして呆然と立ちすくんだ相手に・・シンは止めを食らわせるように噛み付く声を出した。

「"裏切った"んじゃない。---・・ユラなんて・・人間はいない。」

その言葉で、グサリと心に何かが刺さる。
背を向けて・・歩き出す、その"敵"にアスランは声をあげた。


「・・カガリ・・君は・・・?」

酷く情けない声なんだろうと自覚しつつ・・でも、聞かずにはいられない。
信じたい・・・裏切らないで欲しい。
あの日の・・愛までも、壊して欲しくない。
そう思っていた。

「・・・変わらない・・私は、あの時も・・今も-----・・ずっと、変わらない。」


"愛している"


口に出さず・・聞こえた言葉。

だが・・隣の少年は・・アスランを睨み、その目は・・まるで目の仇を見るような目で・・

「・・カガリ--------」

そう、口にしたのも気に入らないようで、チッと舌打ちをされる。

「・・カガリ・・っ---回復してくれ、俺・・アイツ倒す!」
「馬鹿かお前・・っ!?アスランは強いんだ、今レイと戦い終わったばっかりのお前じゃ・・・」
「いいから・・!気に食わない、あいつ。」

ガキらしく叫んで、支えられていた肩を外し・・よろめいたまま、そいつはアスランに剣を構えた。
力の抜けたような身体とは裏腹に、やはり・・その赤い目が訴える感情が見える。

「・・っ---あんたらのせいだ・・、あんたらザフトのせいで・・」

マユ・・、母さん父さん。
全部、全部・・殺したのは・・

「----死んだんだぞ!!!!!」

なのに、なんで・・カガリに裏切ったとか言うんだよ。
カガリはお前の事なんて・・仲間とだって思ってない。
馬鹿・・だな、この男は。

「・・ウズミ様を・・殺したのだって、パトリック・ザラ-----あんたらのボスなんだからな!!!!」


その・・言葉に、怯んだのはアスランではなくて・・・カガリだった。
アスランからでも・・分かる。顔が・・蒼白になって、目が潤みだし---・・眼を見開いていた。

「・・やめ・・、シン・・止めてくれ。-----もう・・それい・・じょう・・言わないで・・っ」


パトリック・ザラ。
それは・・紛れもなく、父の名前で・・。
そして---ウズミ・ナラ・アスハは・・、
カガリの・・父で。

「・・・お父様----」


切なく・・声が上がったのを、アスランは聞き漏らさなかった。

"お父様"

それを・・殺したのは、アスランの父。

「・・・・もう・・いい、シン----戻ろう?アスランも・・レイの事・・おぶって、もう・・行ってくれないか?」
アスランとは眼をあわさず、シンのふらつく身体を引きずって・・カガリは、長い廊下を歩き出す。

「・・----・・っ・・」

カガリ。


そう・・心で呟いて、アスランはレイを担ぎ・・城の外へと出て行った。







































































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あとがき
アスカガ・・?シンの子供臭さが好きです。(苦笑)
2006/05/10