「決行は・・明日の夜だ!!」
そう・・決まり、それまでは自由行動とする。
基本的にレイもイザークもアスランも・・昼間は外に出ないから、大丈夫だとそう話して。
「・・どこいくの・・カガリ?」
そう言って早速出かけようとしたカガリにキラは尋ねた。
掴まったら・・モンスターにやられたりとかしたら?そう不安の色を見せて。
「大丈夫だ!街から出て行かないし・・城の近くにも行かない!!」
そう・・嘘をつき、昼間から外に出て行った。
行く場所など-----一つしかない。
「・・・っぁ〜、草原になってるな。」
そう・・さんさんと照る太陽を見た。そうか季節は夏なのかと、当然の事を思う。
そこは・・カガリの秘密の場所だった。
キラにも言っていない、アスランだけ、知っている場所。
パタンと芝生に倒れこんで・・ゴロゴロとする。
すると・・草達は歓迎するように・・フワリと揺れた。
「・・・・寂しかったか・・?あ、アスランがいてくれたか・・。」
此処の草花・・それは、カガリが力を与えたものたちだった。
アビリティ・ストーンに・・力を入れるように。
最初・・此処は、モンスターのそれもつわものばかりが集まったところで・・。
その中に・・たった一輪咲いた白い花を・・不幸に思って、属に言う洗礼をしたのだ。
アビリティ・ストーンに力を入れることを・・カガリは洗礼とよぶ。
そうしたら・・次の日、そこは何故か色々な植物が育っていて・・した本人のカガリも驚いていた。
そして・・その中、その白い花は・・昨日より、ずっとずっと・・まるで他の花のように大きくなっていた。
「・・・それの・・子孫だもんな、お前ら。」
モンスターが余った自然の力を吸うように・・きっと植物にもその力があるのだろうと考えた。
それは昨日までいたモンスターがその周りから全部・・消えているのが何よりの証拠。
モンスターが吸う分を・・植物に渡したのだ。
そして・・その、植物達は・・話しかければ何処か、答えてくれるような気さえした。
「・・アスラン・・・・アイツ元気か?」
<ユラ・・>
そう・・溜息交じりの愁いを帯びた・・アスランの声が聞こえたような気がした。
怒ってる・・いや、悲しんで・・いるのだろうか?アスランは---
そう・・感じて、その植物達に・・カガリは話しかける。
「アスラン?---"カガリ"だ・・元気か?お前。」
元気なわけ無いよな。そう苦笑して、話を続けた。
「お前が無事で・・何よりだ。今は・・離れているが、大丈夫。また・・一緒に頑張れる時が来るさ。」
そうして・・風が吹いて・・一言、ちゃんと伝えなければと思い声に出す。
「・・愛してるから、---忘れるなよってこの間いったけど。お前---忘れてそうだからな。」
・・そして---その場から立ち去った。
「・・・あっ!!何これ・・っ」
そう・・ルナに叫ばれついでに引っ張られて身がグランと揺らぐ。
「なんだよ・・急にひっぱって----」
そう疲れながらに言うと、ガッと腕を見られた。
「傷っ!!」
「それが?」
そう答えると、ガツンと殴られて「いてぇ」と声をあげてしまう。
「ちゃんと消毒したの!?まったく---もう、ホラかしなさい!!」
そう姉貴風を吹かされ渋々と見せると、ルナは一般で販売されている薬草を手に傷口にその液を付けた。
「・・怪我したなら言いなさいよ?カガリ様だって薬草には詳しいし・・処置なら私だって出来るんだから。」
そう・・世話を焼いてくれるルナに少し微笑むと、ルナは「・・何よ」と唇を尖らせる。
「いや、世話好きな恋人を持ったなと思ってさ。」
「失礼ね。」
そう・・笑いあえるのが嬉しくて・・でも明日の夜---また生死を境にした戦いをしないといけないと思うと・・身が縮む。
本当は・・嫌なのだ、戦うのなんて。
ルナや・・カガリ、キラさんとか・・ディアッカも、皆で楽しくワイワイ過ごせていれば・・それだけでいい。
「シン?」
「・・・・ん?」
「・・・帰ってきなさいよね。明日。」
そう・・切なげな瞳をされて・・シンも切なく微笑んだ。
間違いなく・・明日城に攻め込む中でシンは経験が一番浅い。だから・・当然恐怖も大きい。
だが・・この人たちの生活を護るためなら・・頑張れるとシンは思った。
また、あの場所に来ていた。
もう---止めようと、何度も思ったのに。
でも、と。
居るかもしれないじゃいか。---ユラが。
一歩その草むらに足を踏み込むと・・いつもと違い、暖かいものに包まれた気がした。
「ユラ?」
そうして・・いつも寝転がる芝生に・・また寝転がっていた。
「・・・・ユラ・・。」
そう・・言うと---どこからか"違う"と聞こえた気がした。
「・・・カガリ・・・・・?」
"そう"
それは・・声ではなく、脳に響いてくる信号のように思える。
だが・・次の瞬間、ハッキリと---声として聞こえたものがあった。
<アスラン?---"カガリ"だ・・元気か?お前。>
「え・・?」
ユラ・・いや、カガリの声だ。
「いるのか・・カガリ?!」
思わず立ち上がって・・辺りを見回すが誰もいない。
<お前が無事で・・何よりだ。今は・・離れているが、大丈夫。また・・一緒に頑張れる時が来るさ。>
「どこだ・・何処にっ!!」
会いたい。
会って・・確かめたい。
君は・・カガリは、俺を愛して-------
<・・愛してるから、---忘れるなよってこの間いったけど。お前---忘れてそうだからな。>
「っ・・!!」
カガリだ・・間違いない。
「お願いだ、・・出てきて・・話をしたい・・カガリ!!」
そう・・叫んだが、結局それ以降・・カガリの声が聞こえる事はなかった。
その場に・・パタンと膝を付く。
カガリ・・カガリは、俺を愛してると言っていた。
"裏切られて・・"
違う・・ユラは・・嘘をつかない、カガリだって---同じ人だ、嘘なんてつくはずがない。
姿を見られなかった悲しさより・・・、ずっと、ずっと・・。
-----嬉しかった
愛しているといってもらえた。
まだ・・繋がっていると思えた。
暫くして・・そこを後にする。
「・・また、来るよカガリ・・だから、君も来てほしい。」
いるのかいないのか---分からないカガリにそういって・・歩き出した。
歩き出して・・その場所から遠退いているうちに・・幸福な夢か、幻想の類ではないかと思いだす。
だが・・それだっていい。
少なくとも・・アスランの心の中に・・カガリはいるという事だから。
「・・・・?ラクス---どうしたの?」
キィッと音を立てて入ってきたラクスに・・キラは疑問と喜びの色を見せた。
そして・・招きよせて、椅子に座ってもらう。
「私・・何か、皆様に・・キラにもしてあげられることがないかと探していますの。」
そう・・言われて、キラは「唄は」と尋ねる。
「出来ましたわ!・・ですが、まだ歌うのには早いと思いますのよ。お城を取り戻して・・そこで歌いたいですわ。」
そうにこやかな笑みにキラはふんわりと暖かくなる。
「・・待ってて---僕の・・僕たちの帰り。」
「キラ・・」
「・・それだけで・・十分だから。僕は・・」
「ですが・・」
悲しそうに・・言うラクスにキラは笑いかける。そして・・
「なら・・。」
そう言って、白い頬に軽くキスをした。
二度目、前一回しちゃったんだよね。思わず。
「------・・キラ・・」
そう・・呼ばれて頬から顔を離すと次はラクスから頬にキスをされた。
「・・待っています・・ですから、必ず---」
無事で・・。
「うん・・ラクスも・・・気をつけてね。命、狙われてるんだから。」
「・・はい・・」
「カガリ様・・じゃなくて・・カガリさん」
「んー?どうした?ルナ?」
「あの・・」
帰ってきたばかりの・・カガリ様に、急な事だけど・・
そう・・思いつめながらも、周りを見て誰もいないことを確認する。
「・・あの!私に・・アビリティ・ストーン---・・下さい!!」
その・・告白に、カガリは驚いて見せた。
「あれは・・危険だぞ?取られたら・・命ないし・・」
「知ってます・・けど、カガリさん達が攻めている間・・この店が狙われないとも限らない・・だからっ!!」
前から・・ずっと、ほしいと思っていた。
剣術なら・・出来る、シンにも認められてる・・----・・私だって!!
「役に立ちますっ・・!皆が留守の間・・頑張りますから!だから・・」
そう・・張り詰めた目で見ると、カガリ様は溜息を付いて・・剣を構えた。
「・・・分かった・・試験だ。---・・資格があるなら・・授ける。」
その・・真剣な瞳に、ルナマリアもコクンと頷いた。