第一話:再開

「あら、カガリ様今日は久々のお休みだと聞いて・・・」
マーナがそれを言うのを停止させるかのように、人差し指を口に当てる。
「しっ!今日はアスランと会う予定が・・・」
そう小声で言うとマーナは了解したと言わんばかりに口をつむる。
そう、今日は久しぶりにアスランと会える機会を得た。
アスランは今、軍のフェイス兼ラクスの護衛をしている。そして半年後にある評議員選挙にも顔を出すらしい。
ラクスとアスランはプラントの英雄と呼ばれている。
そして今カガリはオーブ第二の獅子と呼ばれるほど政治家として成長していた。
コンコンッとノックの音がする。
「カガリ?」
そうして入ってきたのは弟・・兄か?分からないがキラだった。
「ラクスとアスランから通信でマルキオ邸で会わないかって」
そう、キラとラクスは遠距離恋愛中。それは私とアスランにも言えることかもしれない。
そして、キラはアスランが置いていったオープンカーに自分を乗せマルキオ邸へと出た。
キラは今、カガリのボディーガードをしえいた。
戦争は終わったものの、各地でテロや内乱が多発していたからだ。
それに・・・つい最近、カガリが良く出入りするアスハの別邸マルキオ様の家までも狙われた。


『ラクス様とお休み何処に行かれるのですか?アスラン・ザラ氏!!』
『今回はニ連休と言う事ですが・・・』
『二人の結婚はいつ頃ですか??』
そんな有り得ない質問ばかりされ少々うんざりしながら港へと足を運ぶ。
隣にラクスはいるものの、彼女は何も思っていないのかニッコリと笑うだけだった。
未だにラクスは何処かつかめない。それにプラントでは信じられない事にラクスと俺の婚約はまだ続いていると思われていた。
ラクスは軽い足取りだが、俺はマスコミたちの口うるさい質問で少々頭にきてむすっとした顔をしていた。
船に乗ると、ラクスはため息を着き宇宙を眺めている。
「ラクス・・・俺達は一体いつまでこんなふうに騒がれなくちゃならないんだ?」
ラクスはその言葉を聞き、首を傾げる。
「アスランは、私と騒がれるのがお嫌なのですか?」
そう聞かれると嫌ではないが・・・。
「しかし、お互い違う人を思っていると明確にしたほうがいいんじゃないか?」
「私とアスランが結婚前提にお付き合いをしていると知ったら、大抵の方は身を引いてくださると思っていますの」
「え?」
意味が分からず聞き返す。
「ですから、カモフラージュですのよ。そうすればお互いにいらぬ相手から誘いも受けずにすみますわ」
彼女にそうきっぱり言われると確かにそうだと納得する。



マルキオ邸に着くと、昔と変わらない風景に思わず安堵の息が漏れた。
「此処は変わらないな」
「そうだね・・・。」
キラは少し遠い方を見て言った。


「あれ?」
それは家の中に入ってから気がついたこと。
子供が減っている?
その事をキラに尋ねるとキラは少し悲しそうな顔をして言う。
「・・・少し前に・・ね、テロで・・入院して、でも、すぐ・・。」
そう小声で他の子に悟られないように言う。
それを聞いて胸が痛んだのは言うまでも無い。




「お久しぶりですわ!キラ」
そういい、ラクスとキラが抱き合うのを羨ましく眺めていた。
マルキオ邸の中からはとても良い香りがしている。
「もう食事のしたくは出来てるから、二人とも早く上がって」
そうキラに言われ中に入る。
「カガリは?」
そう出たのは無意識だった。ただ彼女の姿が見当たらないと、とっさに思った。
「カガリなら今少し家出てるんだ、さき食べてろってさ」
キラとラクスとマルキオさんに子供達、それに俺で夕食を食べ始める。
何かが違うと心の中で突き刺さる思いがあった。いたはずの子供がいない、いたはずのカガリがいない。
それはもう三年くらい前になるだろうか?ヤキンドゥーエ直後のあの平和な日々。
「・・・カガリなら裏の森に行ったよ」
キラは察したのかそう教えてくれる。
「あぁ」
それだけのこし、カガリを探しに家を出る。その時、フッと視線を感じあたりを見回す。
誰かいる。そう確信する。
もしかしたら、カガリやラクスを狙うテロリストかもしれない。
近頃の世界は平和、とは中々言いにくいものだった。
実際、今は無きロゴスのメンバーやパトリック派、それにギルバートン前議長の支持者達・・・。
そんな奴らが日常的にテロを起こそうと世界中ありとあらゆる場所で動いているのだから。
考え出すとカガリはなんて軽薄な行動を取っているんだとかキラも護衛なら付き添えとか言いたくなってくる。
ラクスはキラがいるからよしとして、カガリは今一人で行動している、そう思い足を走らせた。


森に入ると、そこは暗く、しかし細い道があった。
「カガリ?!何処にいる?」
そう大声で呼ぶと森に反射して帰ってきた。
さらにその小道を走る、すると直ぐに開けた場所に出た。
「・・・・。カガリ?」
そこには四つほど墓石が置いてあり花が添えられていた。
こちらの存在に気がついたのか、くるっと向きなおされる。
前から見ると少し大人びた表情になったカガリがこちらを見ていた。
「・・・危ないから帰るぞ?」
そういい手を引くが彼女は動かない。
「子供達が眠ってるんだ・・此処で」
カガリは俺の背中に向かって話しだし、それを聞こうと俺も振り返る。
「知らなかった・・・また・・私のせいで・・・人が死ぬなんて・・」
カガリは目を細めて横目で地面を見つめる。
「・・・また、私は守ってやれなかったんだな」
三年間の歳月が過ぎ会った時から多少変わったと思っていた。でもカガリはやはりカガリだった。
カガリの心は今も昔もただ人を助けたいという思いの一身だ。
「カガリが全てを気に病む必要はない・・。子供達の事は忘れない。」
カガリは俺の言葉に耳を傾け真剣な表情を崩さない。
「そうやって・・・人の死の上に成り立つ俺達が・・次にそういう人が出ないよう頑張るのが勤めだ」
カガリは泣きそうな顔でニッコリ笑った
「分かってる、ありがとう。」
その泣きそうな顔が痛くて抱きしめたくて、そんな事をしたらきっとカガリは泣き出すだろうと知っている、
彼女は国の代表だから泣いてはいけない。それは知っているし理解している。
しかし・・・・。
無理にカガリの腕を引っ張り自分の胸板に押し付ける、カガリは少し驚き胸に収まった。
「・・・泣きそうに見えたか?」
「少し・・。」
そう答えると彼女は少しためらったが背中に手を回した。
「情けないな・・表情にでないように日ごろから努力しているんぞ?これでも・・・。」
カガリは昔から感情が激しく思っていることが直ぐに顔に出ていた。
しかし、代表になってからはテレビに出るとき違う人かと思うほど雰囲気、態度が変わる。
「分かってる、でもいまはカガリだろ?」
そう言うと彼女は頷き沈めていた顔を上げる。
「・・・もう、大丈夫だ。私は泣かない。」
やはり少し大人びた彼女は昔とは違い泣いたり怒ったりと感情は大きくはなかった。
でも、その瞳の中に多くの涙や決意が少しだけだが自分にも伝わるような気がした。


そしてマルキオ邸で一泊する。
勿論キラとラクスは同じ部屋、アスランとカガリは同じ部屋。
そして当然の事ながら、そういう事はする訳で、お互い久々に触れる身体が新鮮でもあった。

「カガリ・・・少しやせたな」
ベットの上でアスランはカガリの隣でシーツをかけながら言う。
「・・・・お前、前より筋肉ついたな。」
カガリは腰がだるく、少し苦しそうに言うが顔はいつもと同じだった。
「ちゃんと食べて寝ろよ?倒れたら国民だって心配するんだぞ?」
そう言われカガリもコクンと頷く。
「・・アスラン」
「ん?」
「・・・・心配してくれてありがとう。」
カガリはアスランの心配を見通すようにニッコリ微笑んでみせる。
その微笑に甘え、アスランもう一度カガリに抱きついた。







++++++++++ あとがき
ラブラブなのを書こうと思いました。
恐らく挫折しました。
ってか自分自身、この二人があまりにイチャイチャしているの
想像できないんですよ。いや、して欲しいけど。