カガリとキラに良く注意するようイザークに言われる。
そんな事を言われなくてもアスランは百も承知
・・というか、カガリはオーブ軍の関係者で間違いないと思っていた。
オーブは中立、その立場にある人間なのだと。
そしてその中で、地球軍に命を狙われる可能性がある人物。
そんな人はオーブにごまんといるわけではない。



6立場という憂鬱



自分のことがバレるのは一切どうでも良かった。
賢いザフト軍の事だ、もう私の素性くらい感づいているだろう。
・・だが、そんな事はどうでもいい。







「カガリさんご飯ご一緒しましょう?」

「ああ、」


そういえば・・とカガリは思う。

・・・一番よく分からないのはこの歌姫である。

カガリはラクスのことを平和心前大使としてしか知らなかったけど。
ただ、彼女と日頃話していて思うのは、なんと大らかで心安らかな女の子なんだろうと言うことだった。
自分は短気だし、男みたいな話し方をするし・・、
比べていて悲しくなってきてから止めるが、ともかくラクスはいい人だと思ってはいた。

あの事件以来、アスランはラクスにべったりと張り付いている。
地球軍を警戒しているのか、私を警戒しているのか今一分からないが、まぁどっちもなんだろうな。









「ふん、銃の腕は普通だな。」
「ザフトの普通なら光栄だよ。」

疑似軍事訓練の授業中、イザークはカガリの銃の腕を見てそういう。
傍でアスランも撃っているが、その腕は自分が適う奴らではないなとカガリは率直に思う。
まぁ銃の話だが。


「キラは?」

「ああ、アイツならアスランにみっちり扱かれたから使い物にはなってるんじゃねーの?」


そう金髪の浅黒い男・・ディアッカから聞き、カガリは水を飲みに行っているキラに会いに行く。


「少しは当たるようになったか?」

「うーん・・まぁまぁかな?・・取りあえず有り得ない方向には飛ばなくなったよ。」


銃の衝撃で腕が痛いのか、キラは腕を水で冷やしながらそう答えた。


「アスランは凄いよね、頭も良いのに運動も出来て・・銃だってザフトの同世代の中で一番だもんね。さすが僕の親友」

「そうだな。」

「僕はアスランに何一つ勝てたことないよ。」


そう言って笑うキラに、カガリは言う。

「・・他の人と比べることないさ。キラはキラ。キラが人より優れていようと劣っていようと、そんな事はどうだっていい。キラはキラなんだ。」
「・・あ、別にアスランに負けて悔しいとかそういうんじゃ・・・」

「分かってるよ。」


でも・・と続けそうになった言葉を、カガリは無理矢理切った。











あの地球軍のテロはオーブ国内外で大々的に取り上げられていた。
地球軍では「オーブはプラントを匿った」事になっているらしい。
オーブの代表首長ウズミ・ナラ・アスハは「馬鹿馬鹿しい、オーブにいる以上コーディネーターだろうとナチュラルだろうとテロは許さない」と公言していた。
その通りだと思う、コーディネーターだろうとナチュラルだろうと命は一緒なのだ。


「そう言えば・・もうじき修学旅行だな。」


この学校には一学年事に修学旅行がある。
本当なら毎年海外に・・言えば、地球とプラントに旅行できるのだが、今年はオーブ国内に留まりそうだ。


「そうだね!・・でも僕は行かない方がいいのかな?」


そう許しを取るようにキラはカガリに訪ねる。


「まさか!・・キラは普通に学生生活を送って良いんだぞ?縛られるのなんかまっぴらだろ?」

「そうだけど・・でも、カガリが大変かな?って。」

「その為にキラが訓練してるんだろ?平気さ!何かあっても私がどうにかしてやるよ!」


そう言ってカガリが笑う。
キラはどうして僕のためにそこまでしてくれるのだろう?と思う反面カガリの優しさを感じる。
そう、カガリはとても優しいのだ。口はお世辞にも丁寧とは言い難いけど・・。


「おい、キラ!いつまでサボるつもりだ?」


水を飲みに来たアスランにそう注意され、キラは「今行くよ!」と声を出す。
アスランはチラリとカガリを確認すると、キラを連れて行ってしまった。









「カガリには気を付けろよ、キラ。」
銃の整備をするアスランにそう言われ、キラは「カガリは・・いい人だよ?」と答える。
「いい人かどうかじゃない。・・俺達にとって何ものか分からないんだ・・彼女はオーブの軍か・・スパイか、何かだろう。」

流石賢いアスラン。

そう思いながらも、キラは「でも」と答える。

「僕はオーブの国民だもん、そんな僕がオーブのスパイか軍に殺されたりはしないでしょ?」
「・・お前はな。」

そう、アスランとキラでは立場が違うのだ。


「・・ねぇアスラン。オーブの軍は理由もなくザフトを攻撃しないでしょ?・・なら・・」

「相手にとって何が理由になるか分からない。」

「そうだけど・・カガリは・・・」

「キラ・・、悪い。別にカガリと仲良くするなと言ってたつもりじゃないんだ・・ただ・・」


アスランは少し申し訳なさそうに眉を顰めキラを見る。

「俺はザフトの軍人だから・・、"いい人だから"といって、警戒しないわけにはいかないんだ。」

ごめん、と・・アスランはまた付け加え、練習スペースへと歩き出した。







「・・・仲良く出来ないかな・・、アスランもカガリもとっても優しいのに・・」
そう一人教室のベランダで愚痴ると、ヒョッコリとピンクの髪が隣りに現れる。

「ら、ラクス!ビックリしたーっ」
「あら、驚かせるつもりはなかったのですが・・。」

相変わらず愛らしすぎる容姿でキラを見つめ、キラは咄嗟に赤くなってしまう。
ラクスはそれに気が付くのか気が付かないのか、分からないがニッコリ笑った。


「私も・・そう思いますわ。アスランは少し真面目すぎますが・・とても優しいですわ。・・カガリさんも優しい方だと思いますわ。」

「うん、そうなんだよ・・、なのにアスランったらカガリのこと警戒しちゃってさー・・まぁ軍人だからってのも分かるんだけど・・。」

「そうですわね・・。どこの軍であろうと、どこの国民であろうと・・平和でいたいと思う気持ちは一緒ですのにね。」


難しいですわね、とラクスは少し悲しそうに微笑んだ。
カガリが前にラクスのことを平和親善大使だと言っていたのがよく分かる気がした。


「ね、ラクス。僕凄くお節介だと思うんだけど、二人にどうにかして仲良くなって貰いたいんだよね。」
「あら、奇遇ですわ。私もお二人には仲良くなって欲しいです。」

そう言ってニッコリ笑うラクスはとても可愛らしくて、キラはアスランはなんて幸せ者なのだろうと思った。











「はぁ?!」


HRの時間、アスランの憤りと困惑を含んだ声がクラス中に広がった。


「あら、楽しみではありませんか。」

「楽しみの訳ないでしょう?修学旅行なんて自由参加なんですよ??何考えてるんですか!」

「・・そんなに怒らなくっても・・」


そう言ってシュンとなったラクスに、アスランは頭を掻く。
カガリは「やっぱアスランもラクスには敵わないんだなー」と笑う。


「私オーブの本土に前々から行ってみたかったんですの!仕事ではこのような衛星都市しか来られませんでしたから・・」

「そ、そうかもしれませんが・・ラクス、護衛する身にも・・」

「ザフト一優秀なアスランですもの。大丈夫ですわ!それにオーブは中立国ですのよ?」


そう強く言いきられ、アスランは黙るしかない。グッジョブラクス!とキラは心の中で盛大に叫んだ。


このクラスはHRの時しか集まらない。しかもアスランとカガリは理系と文系。まず取る科目が違うためHR以外では顔を合わせないのだ。
だから、修学旅行という機会を通してキラとラクスは少しでもアスランとカガリが仲良くなれるようにと考えていた。


「ね、僕たちもオーブ本土に行こうよ!」

「ああ、いいな!」

「グループは3人から5人ですわよね?ミリアリアさんが他のクラスなのが残念ですわ・・」



そう言ってポンポン拍子に話が進んでしまい、アスランは力無く溜息を付いた。

















































































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あとがき
もうちょっとアスカガ要素が欲しいと言うことで、色々話を盛ってみようと思います。
2009/03/22