アイツは一体。

イザークは使い終わった銃を見て、今更ながらにそう思った。



5日常が壊れる音がする




あの後は大変だった。
ラクスは直ぐにいつも通りの顔に戻ったけど、爆発も、爆風や音に比べればそれほど大きなモノではなかったけど。


でも・・





「プラントの聖女ラクス・クライン殺害失敗・・ね。何よこの巫山戯た記事は。」


そう言って怒ったのはミリィだ。
ついでにミリィが読んでいるのはオーブの中でも地球軍側の意見を押す新聞社のモノだった。

「でも死人が出なくて・・本当に良かった。」

そう、カガリが言う。

あの事件以来、学校はこの話題で持ちきりだ。


「だが・・オーブ軍がちゃんとラクスの護衛に来てるとは思わなかったな。」

そう、ラクスとアスランをホールの脇の教室まで入れ、直ぐに怪我人の手当をしたのはオーブ軍だった。
やはり、大勢の不特定多数の人間が学校へ出入りする日は危険だと思ったのだろう。

「アスラン!貴様授業が終わったらさっさと来いとあれほど・・・」

そう言ってアスラン達の部屋に入ってきたのは、イザークである。
やはり、ザフトの人たちもあの事件以来ピリピリしているのはキラの目から見ても明らかだった。

「・・地球軍がそのつもりなら、こちらだって対策は立てねばならん!・・オーブ側からは許可が出た!」
「ああ、分かってる。今行こうと思ってた所だ。」

そう言ってアスランとラクスと共に行こうとするイザークがピタリと足を止める。
そしてこちらを振り返り、カガリを見た。

「お前も来い!カガリ・ユラ!」

カガリは少し驚いてから・・「キラも一緒じゃ駄目か?」とイザークに言う。


「・・勝手にしろ。」


そう言われ、キラとカガリも付いていくことになる。ミリィは少し心配そうに二人を見送った。





実験室のような部屋に入る。
そこには、この間見た金髪に浅黒い肌をした男と、シホがいた。その他数人あまり知らない生徒がいる。

「あれ、そっちの二人は何?」

そう言ったのは、その金髪の浅黒い肌の男・・。


「こいつ等は俺が使えると思って引き抜いてきた。」

「二人ともとても戦闘向きには見えませんね。」

そうシホに言われ、キラは首を傾げる。

「・・ともかくこのメンバーだ。このメンバーでラクス嬢をお守りする。」
「・・・・本当に、ごめんなさいね・・皆様」

そう言ってラクスが深々と頭を下げた。
と言うことは、ここにいる生徒達は、みんなザフトの軍人なのだろうか・・・?
キラはそう考え込む。

「次何かあったとき、今回のようにオーブ軍が直ぐに来てラクス様を保護するとは限らない・・だから、俺達で手を考えておく。その許可も下りた。」

そう言ってその場を仕切出すイザーク、カガリとキラは黙ってそれを聞いていた。
学校の見取り図。どの場所に銃があるか、どこへ行けば外部と連絡が取れるか・・。
ラクスがいる一年A組が敵襲にあった場合、自分たちがどう動けばいいか。
キラはいまいち現実のことのように受け止められず、考え倦ねてカガリを見る。
カガリはキラの困惑を直ぐに察し、小さく微笑んで見せた。


「これから・・この学校の疑似軍事訓練の授業を演習に使わせて貰う事になった。お前達!俺がびしばし扱いてやるからな!」

そう言って、この会議はお開きとなる。
周りがまばらに散っていくと、イザークはカガリの元へやってきた。

「この間の手早い対応、感謝する・・、貴様どこかできちんと訓練を受けていたな?」

その少し疑うような目に、カガリは少し困ったような顔をして答える。


「いや、相手が銃を持っているのは分かってたから・・それに、アスランからお前がザフト軍だって事も知っていたし・・だから、銃を渡すべきだと判断しただけだ。」

嘘だ、とキラは思ったが顔に出さないようにする。
だって、カガリが連絡を取っていたのはオーブ軍だった。
これは自分で後から推測したことだが・・間違いない。
カガリは自分を危険から回避させようとしてくれていた、銃だって素人の扱いではなかった。
だが、きっとこれを言ったらカガリにとってマイナスになるとキラは思い、黙っていた。

「まあいい、敵でないのならな。」

そう言ってイザークは行ってしまう。







その後廊下で二人きりになる。
キラはカガリに聞きたいことが沢山あった、が聞いていいものかどうか分からなかった。

僕はどうして狙われたの?

君は何なの?


だが、聞いたところで回答が得られるとは思えなかった。


「・・ごめん、キラ」


そうごちゃごちゃと考えていると、突然カガリにそう言われキラは逆に首を傾げた。

「何で、謝るの?・・カガリは僕のこと守ってくれたじゃない・・。僕がありがとうって言わなきゃいけないのに。」

カガリはその言葉に顔を上げたが、ばつが悪そうに目を反らす。

「私は・・お前に、何も説明できなくて・・だから、お前が気が付かないようにしようって・・頑張ってみたけど・・駄目で」

「・・僕が自分自身が狙われてるって、思わないように・・しようとしてくれてたの?」


うん、とカガリは小さく頷く。


「けど・・力不足で・・ごめん・・。それに、今はお前に何も教えられないんだ・・だから・・それもごめん・・。」


そう言って俯いたカガリに、キラは知らず知らずに手を伸ばしていた。
真っ直ぐな金髪を優しく撫でる。


「・・ううん・・謝らないで・・。ありがとうカガリ・・守ってくれて。」


それだけでキラは十分だった。
理由は分からない、それは凄く不安だった。でも、
カガリが本気で自分の命を守ろうとしてくれた事が分かっただけで、キラは少し安心した。
真摯に謝ってくれるカガリの優しさにキラは安心したのだ。

「ありがとう、カガリ。本当に・・」

そう言うとカガリは顔を上げ、クシャッと泣きそうな顔になる。
そのままガバッと抱き付かれ、キラは少し驚いたが、自分より一回り小さい体に抱きしめられて、また安心する。


「でも、守られてばっかじゃ駄目だよね。僕もこれからは本気で訓練しないと。」

カガリが、僕のためにまた泣かないためにね。
そう心で言って、カガリを抱きしめ返した。















































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あとがき
えっと・・キラカガに見えますが、これは信頼であり友情であり・・。ラブではないのですよ・・!!
2009/03/20