顔立ちが良く、また賢いアスランの新入生代表の言葉。
既に数名の女子がキャーキャー言っていたが・・それ以外にも、多くの言葉が混じっていた。
2平凡という名の
「何あれ、全く失礼しちゃうよ!」
ぷんすかっとキラが頬を膨らます。
「・・私もああいうの嫌いだ。今まで何をやっていたかなんて、関係ないのにな。」
アスランは元軍人、しかもプラントで一番偉い人の息子だったこともあり、何かとメディアも取り上げていた。
今日の入学式でもどこかのテレビ局のカメラが張り付いていた。
「・・・気になんかしないさ。」
コーディネーターがどうしても多くなる学校だが、中にはナチュラルだっている。そのうちの誰かだろう。
入学式の最中、アスランが前に出ているときに大声で叫んだのだ。
"人殺し"
その時、騒然となった会場、突然光り出したメディアのカメラのフラッシュ。
「オーブは・・少し平和呆けしすぎた国だから、何かとメディアも話題がほしいんだろうな。・・ごめんな。」
「・・別にユラが謝る事じゃないだろう?」
何故か申し訳なさそうにしたユラにアスランは笑う。
「でもユラが謝りたくなるのも分かるよ、オーブは良いところだからね。・・僕もこの国好きだよ、だから悪くみて欲しくないんだよね?」
誰にでも、平等に平和に、それがオーブが掲げる最大の理念。
僕もよく分からないけど、地球軍のようにコーディネーターを殺すとか、そんな考えよりはずっと良いと思う。
綺麗な廊下を抜け、三人は一年のAクラスに到着する。
クラスへ入ると、部屋の一角に桜の花びらのような髪の持ち主を発見する。
「・・ラクス・・!」
「あら、アスラン」
僕でも良く知っている、超超有名人、ラクス・クラインっ!!!!
ユラは「凄い可愛い子もいるもんだなー」と知らないようである。
「え?ユラ、知らないの?!ラクス・クラインって言ったら・・超有名人だよ!」
「・・クラインって言ったら・・プラント評議会のメンバーにいたけど・・そいつの娘?」
「何でそんな政治的な事詳しいのに知らないの?!」
「ああ!そう言えば、プラントの平和親善大使が、ラクス・クラインだったな・・!」
「そうなの?いや、それは知らないけど!そうじゃなくて・・プラントの最高峰歌姫だよ!!」
周りもそれに気が付いてるらしくザワザワと騒ぐ。
・・その歌姫と、アスランが知り合い?
「ああ・・国内でしか公表してなかったんだっけか・・」
「そうですわね、そうでしたわ」
「どういう事?アスラン。」
少し気まずそうに、アスランはラクスを見る。ラクスはニッコリ笑い口に出す。
「私達、婚約してますのよ。」
その瞬間、クラスに地響きが走った。
「つーワケで、何かと有名人物が多いクラスだけど、この学校に入った時点で全員この学校の生徒以外なんでもない。」
そう言って自己紹介をしたのは、このクラスの担任、ムウ・ラ・フラガ。
確かに、ラクス・クラインにアスラン・ザラじゃこのクラスは注目を集めそうである。
「婚約か・・いーなーこんな可愛い子と・・」
そう羨ましげに見ると、アスランは「仕方ないだろ」と言う目で見てくる。
だが、アスランの先ほどの様子じゃ全然全く嫌がっていない・・というか、寧ろラクス・クラインを好いているのは間違いない。
確かにあれだけ可愛い子だったらねー・・しかも性格も良さそうだし、とキラは思った。
それより驚いたのはユラである、ラクス・クラインが歌姫であることもしらないなんて・・!
「ユラって世間知らずでしょ?」
「な、何だよ!知らなかっただけだろ?あと、カガリで良いぞ。私もキラって呼ぶから」
「いーや僕等の世代でラクス・クラインを知らないなんて・・カガリ、どこで育ったのさ?」
「こら!お前等先生が喋ってるときは喋るな!」
おこられちゃっただろ!とカガリは口パクで言ってくる。
僕のせいじゃないよ!と口パクで答えると、後ろの席のラクス・クラインがクスクス笑っていた。
「初めまして、カガリさん、キラさん」
先生がプリントを取りに職員室に戻っている間だ、僕とカガリはラクス・クラインに話しかけられて、ビックリする。
「初めまして、ラクス!」
カガリは相手が有名人だろうと何だろうとあまり気にしない質らしい。
「は、はじめまして、」
一方僕は少しおどおどする。
「私、今まで学校というものに通ったことがなくって・・お二人が楽しそうに話してたので、・・私もお喋りに入れて貰えませんか?」
あのラクス・クラインと話せるなんて・・、と周りから見られ、何かキラも一層恥ずかしい気分になる。
「いいぞ!しゃべろう、ラクス!」
「はい、カガリさん」
カガリの前の席であるアスランも振り返り四人で他愛も無いことを話す。
話していて思ったが、アスランは常にラクスにのみ敬語である。
やはり正式なおつき合いという奴なのだろうか、とキラは思う。
「アスランとキラは理系なんだなー」
「アスラン昔っから凄いんだよ、ね?」
「私も沢山ハロを作ってもらいましたわ」
「ハロ?」
「ああ・・ロボットのオモチャ」
「お前凄いな!そんなモノも作れるのか!」
「僕もアスランにトリィって言う鳥の作ってもらったよ!」
「飛ぶのか?それ・・」
「飛ばなきゃ鳥にならないだろう?」
「お前・・凄いな!」
「別に、・・ちょっと考えて組み立てただけだ」
「謙遜しちゃってねー。」
「でも本当に可愛いんですのよハロ」
そう言っているうちに担任が帰ってくる。
カガリとラクスは選択科目がよく似ていて、アスランは物理や数学の他に政治経済や国際環境など、一部かがり達と被る科目も選択していた。
一方キラは政治は一切分からないので、理系科目ばかりである。
「あ、体育とらなきゃ。」
「俺も取らなきゃな・・体が鈍る」
「キラも取った方が良いぞ。」
そう言ってカガリは勝手にキラの用紙に体育を書き込む。
「わーっ!こんなに??」
体育と言っても一概にサッカーやバスケではなく、護身術や疑似軍事訓練演習なんてものもあるから厄介だ。
「ザラと同じ奴、書いてやった!」
「・・僕銃なんか怖くてもてないのに!」
「お前みたいな貧弱そうな奴、これぐらいやんなきゃ駄目だぞ!」
「そういうカガリは・・って全部とってる!!」
「体育が一番好きだからな!」
一方のラクスは運動が大の苦手らしく、一つも取らないらしい。
「学校生活が楽しみですわ。文化祭に体育祭・・どれも初めてですの!」
「文化祭凄いらしいよ、この学校!みんな凄い研究とか発表するらしいから・・」
「実際かなり偉い科学者も見に来るらしいからな・・、優秀な生徒は大学から呼ばれたりするしな」
「文系は専ら模擬店とか舞台とかだけどなー。」
そうやって、平凡な高校生活が始まった。