カガリは・・アスランの病室で幾度と無くゴメンと告げた。
そして・・。
カガリは、アスランが目覚めるのを待つことに決める。
謝って・・・、、、誤解していたんだと、許されなくても良いから言いたかった。
いや、
アスランが目覚めるのを、確認したかったのだ。
また・・・昔のように話したい。
そう思って・・カガリはアスランのおでこにキスをしていた。
次の日から・・カガリは、アレックスの顔も、ヤマトの顔も見られるようになる。
「ね〜アレックス。」
アレックスの家で・・二人でご飯を食べていると、ヤマトはキラリと笑い、嬉しそうに声を出す。
「僕、カガリ大好きっ!!」
「ッ・・ゴホッ・・ぅ・・」
ヤマトの声に・・アレックスは吐き出し、ヤマトは「嘘〜〜」と笑って見せた。
「大好きだけど、アレックスには劣るよ。」
「・・・・っ。何の話だ。」
吐き出したサラダをかき集め台布巾で拭き取りゴミ箱へと捨てる。
「だって、アレックスはいつもカガリのこと見てるでしょ?」
「気のせいだ!!」
「ふぅ〜ん・・じゃあ、僕が狙おうかな〜〜〜。」
「っな!!!!」
ガッと立ち上がったアレックスに・・ヤマトは笑い、アレックスの作ったハンバーグを頬張る。
「アレックス、料理の才能有るよ!!!これ美味しい!!」
「・・・ヤマト・・、、、」
弱ったような顔のアレックスに、「素直になりなよ」とヤマトは声を掛けた。
アレックスも・・頬を赤くさせてからそれを認め、ポツリと言葉を漏らす。
「・・彼女だけ・・・何て言うか、俺に暖かい気がする。」
「沢山の女の子に囲まれてる君が言うの・・、それ。」
ハーレム状態を想いだして言うヤマトに・・アレックスは首を振り説明をした。
「カガリは・・何て言うか、本質的なところを見てくれてる気がするんだ。・・・他の子は、外見だろ?」
「まー・・それは分かるような気がする。」
ヤマトも頷き・・アレックスも、カガリとの今日の会話を思い出していた。
カガリはとても柔らかく微笑んでくれる。
それが心地よくて・・・アレックスはカガリの隣にいたいと漠然と思うようになっていた。
「今度、遊びに誘っちゃえば?」
「・・・断られたら・・・・?」
「知らないよ、そんなの。」
君のことでしょ?と・・言われ、アスランは頷く。
頑張って・・声を掛けてみよう。
そう思っていた。
「・・・・楽しい遊び場?」
「ああ。」
自分では・・何処に言って良いか分からないのでカガリに聞くと、カガリは少し考えてから色々と例を挙げる。
「遊園地、ボーリング・・カラオケ、ゲーセン・・・ウィンドショッピング・・」
そう、言われるのだが・・アレックスにはいまいちどういうところか想像が出来ないで居た。
「・・カガリが、一番行きたいところは・・何処?」
「え?」
カガリの答えは、アスランの居る病院だ。
けど、それを言うわけには行かず・・・少し考えて「ゲーセン」と答える。
「ゲーセンって・・ゲームセンターだよな・・・?」
「ああ・・・・って、お前行ったことないのか??」
「----・・・ああ・・・。」
君と行きたい。
そう・・口にしようとして・・少し躊躇ったが、言ってしまった。
「・・・わた・・しと?」
「・・嫌じゃ・・なければ、だが・・・・・・」
「・・嫌じゃないぞ、うん・・。」
極曖昧にカガリは返す。
そうしていると・・そこにヤマトが来て「僕も!」と言いだしたのだ。
「ヤマト・・・っ」
アレックスが腹の底から怒ったような声を出すとヤマトは小さく笑い「アレックスが変な鉄踏まないように・・・だよ」と言ってくれて安心する。
カガリは、その二人のやり取りを不思議そうに眺めてから・・ニッコリと微笑んで返した。
早速帰り道・・行くこととなり、三人は市内へと歩いていく。
「カガリ、ポップン得意そう!!」
「分かるか!!得意だぞ!!」
アスランにはそのものが分からず・・?を浮かべたが、ヤマトとカガリが説明してくれて理解できた。
大通りを歩いていると・・・カガリは小さく声を出す。
「ラクス・・」
「-----------・・・っ・・・」
桃色の髪の少女。
カガリの知り合いらしいが・・その目は、カガリではなく自分とヤマトを見ていた。
「・・・この間言った、アレックスとヤマト。」
「え・・あ、・・はじめ・・・まして・・・。」
「はじめまして、僕ヤマト・ヒビキ。」
「アレックス・ディノだ。」
人なつっこい彼らしく・・手を差し出すが相手は少し躊躇っているように見える。
「・・・ラクス・・クライン、ですわ・・・・・。」
キュッと結ばれた手に、カガリは・・自分の時と同じ現象が起きるのではないかと不安になったが、ラクスは大丈夫だった。
「皆様はどちらへ?」
「んー・・今からゲーセン!」
「・・ご一緒して宜しいですか?」
「もちろんだよ、ね・アレックス」
「え、ああ・・」
ヤマトは少し頬を赤くさせてラクスを見て・・アレックスは、ああと納得がいく。
「ありがとうございますわ、ヤマト様。」
「え、ヤマトで良いよ・・僕もラクスって呼びたいし・・」
戸惑いがちに、でもちょっと嬉しそうに話す彼の姿に、、ラクスは言い知れない切なさを覚えて、無理に笑みを作っていた。
四人でゲームセンターに行き・・プリクラを取り、ポップンをやって・・アレックスはUFOキャッチャーが巧いことが判明し、ラクスは対照的に苦手だと言うことも分かる。
ヤマトは次第に、ラクスしか見えなくなっていたのはアレックスのみならず、カガリにも伝わっていた。
ラクスも・・おそらく気が付いているだろう。
「・・・いい感じ、だな。ヤマトと・・ラクス。」
アレックスにそう言われて・・カガリは「ああ・・」と小さく答えた。
ラクスは大丈夫だろうか、気が・・動転してしまうのではないだろうか・・。
色々と考えていると、いつの間にかラクス達は見えなくなり・・アレックスと二人になっていつ事に気が付く。
「・・・あれ、ラクスと・・ヤマトは・・・・?」
「さぁ・・、、はぐれたんだろ?大丈夫だ。」
パッと手を取られて、ギュッと握られる。
「・・・っ・・。」
カガリが・・ハッとしてアレックスを見ると、アレックスは少し恥ずかしそうに笑い、その手を引いた。
「あ、あの・・アレックス・・・・・」
握られている手を、カガリは解こうと横に振るが、アレックスはそれを気にせず握る。
人気の少ないところまで来て・・カガリの方に振り向いた。
「---・・・嫌、だったか?」
やっと・・離された手をカガリは別の手で包んでいた。
アスランの手と似ている・・・そんなことが頭を過ぎったが、カガリは考え直す。
アレックスはアレックス。アスランは・・アスラン。
「・・嫌って・・いうか・・なんか不自然だったなって・・・・」
「・・そう?」
つまりは嫌だと言うことだろうか。
そう考えたアレックスは・・少し悄げた顔をカガリに向ける。
カガリは、その顔に・・またアスランを重ねていた。
「・・そう言う割には申し訳なさそうな顔するんだな・・・」
「え?・・いや、別に・・・・・」
だって、本当に瓜二つなんだとカガリは思う。
話し方も仕草も表情も一緒なんだ。
アスランが居たら・・こうなのかな、ああなのかな・・って、、、思っちゃうのも・・・・。
薄暗くなってきて・・・・・・・カガリはアレックスの顔を見ないように伏せていた。
「・・・・暗く・・なったな、送るよ。家何処?」
「・・・独りで・・帰れるから。」
「・・女の子独りじゃ危ないだろ?」
送らせてくれ・・とカガリの手を取り、アレックスはもう一度歩き出す。
カガリは・・困惑したまま、その手を離せずにいた。
「もうすぐ・・梅雨で、夏だな。・・カガリは夏好きか?」
「・・え、あ・・あぁ、大好きだぞ!沢山外で遊べるし・・お祭りとか、海とか・・・」
カガリは何とか自分の頭の中でアスランとアレックスを切り離し、いつも通りの笑みを向ける。
アレックスも、それに安心して・・・手を繋いだまま少し心拍数は速いが、普通に話す。
「・・一緒に行かないか?、、今日みたいに・・ヤマトと、あのこと一緒に。」
おねだりをするように覗き込まれ、カガリは無意識のうちに頷く。
なぜか・・・そうするのが当然のように感じられたのだ。
カガリがすんなりと頷いたことに・・アレックスは気持ちが浮上する。
元から明るいカガリのことだ。もしかしたら・・・男友達と遊ぶのは当たり前なのかもしれないが・・。
それでも、嬉しいのだと、アレックスは思い・・カガリを駅まで送り届ける。
「ありがとう」
「いや・・気を付けて。」
そう・・手を振って、アスランは華奢な後ろ姿を見送った。